冬晴れの悲しみ晴れの

冬晴れの悲しみ晴れの栗の樹に登ってみるか途中まででも 蝦名泰洋 2021年最後の日は、雪晴れ。 詩誌「みらいらん」9号が届いた。蝦名さんの遺稿を載せてもらってる。冬から春にかけて受け取った。一首ずつ、それから一連にまとめて、タイトルついて、推敲し…

パアララン・パンタオのクリスマス

パアラランのHPが、なんと更新できなくなってしまって。諸事情、の説明は省略。そんなわけで、 HPは過去ログとして置いておくこととして、新しいブログ開いております。見て下さい。更新がんばる。パアラランのクリスマス2021https://paaralang.hatenadiary.…

果実

蝦名泰洋さんの歌集「イーハトーブ喪失」(1993)には、あとがきがない。かわりに、「果実」と題したあいさつ文のようなものがはさんである。私の知る限り、蝦名さんは30年間、同じことを言っていた。同じように歌っていた。こんなことが書いてある。 「……短…

はしるはしる

更級日記に、物語というものに憧れた少女の著者が、物語が手に入ると知らされたときの、気持ち、早く読みたくて、はやる気持ちが「はしるはしる」と書かれていて、高校の教科書で、それを読んだときの、千年の向こうから、まっさらな風が、まっすぐに胸に吹…

歌人の帰郷

11月28日のデーリー東北新聞に、蝦名泰洋さんの記事。歌人の帰郷。そうでした。一番最初の手紙は、十和田湖町からもらったのでした。湖畔にはこぶしの木もあったと想像する。私が、たぶん、こぶしの花を知らないと言ったのだと思う。これがこぶしの花だよと…

「座」の文学

11月21日の朝日新聞、短歌時評で、山田航さんに紹介してもらってました。 (短歌時評)蝦名泰洋の短歌観 山田航 2021/11/21 蝦名(えびな)泰洋・野樹(のぎ)かずみ『クアドラプル プレイ』(書肆侃侃房)は、2人の歌人によって紡がれ続けてきた「短歌両吟…

月蝕のダリア

19日夜、月蝕。学校から帰ってきて、写真撮るという息子と、眺めた。 年々の買い物籠へ月蝕のダリアほめられもせぬ母のために(泰洋) 「クアドラプル プレイ」 の歌なんか思いだす。たしかにこんな色のポンポンダリアが、スーパーで売られていたり、するなあ…

東奥日報に

東奥日報。初めて耳にしたのですけれども、遠い北のほうの新聞。11月16日の文化欄に、載りました。 追悼、の二文字が、つらい。 でも、こんなふうに郷里に迎えてもらえて、なんかとても、ほっとしました。私も、県境ぐらいまでは送ってゆけた気持ちで。 なに…

蛾の幼虫とか鹿とか

朝、学校に行こうと、家を出たら、向かいの森に、鹿がいて、息子はスマホで写真を撮った。 こういうところに暮らしていて、学校もバス乗り継いでいくけれども、街のはずれの田舎なので、前の日は、誰かのマフラーに蛾の幼虫がいたらしい。その幼虫を、生物の…

短歌さんの足音

蝦名さんの短歌さんたちが、届いた。なつかしい足音で、やってきた。あとがきによると、蝦名さんの訃報を受けて、弘前の短歌の会の人たちが、かつてその歌誌に蝦名さんが寄稿した短歌131首を纏めてくれたもの。1994年から2006年。2000年以降のは、青森を去っ…

レティ先生のこと

パアラランのニュースレターの発送を終えました。遅くなりました。9月6日にレティ先生が亡くなり、どうしても心を落ち着ける時間が必要でした。10月の終わり、レティ先生の息子のジェイコーベンが、長文のメッセージを寄せてくれました。(それを私の息子が…

17歳の有権者

投票日が今月末になったとき、ああ、ぼく選挙権ないな、と息子が言った。投票日の翌日が誕生日なので。そして次の瞬間、ぼく、選挙権あるらしい、と言った。ツイッターで呟いたら、誰か、法学部の学生さんらしいけど、教えてくれた。投票日の翌日に誕生日の…

もうひとりのわたし

NHK短歌11月号に、私の短歌、紹介してもらっているようです。10年前の歌集。歌がこんなふうに誰かの傍らにいてくれるということほど、うれしいことはなく。

柘榴

「ぼくとしては、心臓が破れたほうがましだよ割れ目のなかはとっても愛らしく暁の万華鏡のようなんだから」 D.H.ロレンス 最初の1ページめで、こんな詩に出会う。柘榴の詩。「嗅ぐ文学、動く言葉、感じる読書」自閉症者と小説を読む、という本。文学作品を、…

コスモスの丘

死ぬ夢を見た。焼き場で、私が棺の中に横たわって、これから炉のなかに入れられるという場面を、空中から私が見ていた。周りに何人か人がいて、知っている人のようでも、そうではないようでもあった。私は年老いているようでもそうではないようでもあった。…

前略 秋さま (クアドラプル プレイ) 

きれいな秋の空、秋の風。 前略 秋さま 生まれかわってもふたたびさびしくなれますように (蝦名泰洋) 思い出して探した。出たばかりの両吟集『クアドラプル プレイ』のなかの歌だった。 いつのまに過ぎた夏だろう。親しい、慕わしい人の死が相次いで、過酷…

クアドラプル プレイ まで

信じられないほど美しい本ができました。信じられないほど。 両吟歌集『クアドラプル プレイ』蝦名泰洋 野樹かずみ共著 あとがきに書きましたが、私たちの両吟は1992年にはじまって、途中、互いの行方不明による18年間の中断の後、2013年に再開、2020年まで…

風が吹いて

去年の冬に父が死んだ。病院に行って、入院してほんの一か月。末期癌。2月23日。コロナはまだ、ダイヤモンド・プリンセス号の頃で、兄は毎日お見舞いにゆけたし、通夜も葬儀も行えた。そのあとかな、感染がひろがって、学校が休校になって、というのは。 去…

レティ先生 逝去

パアラランの友人のみなさま SNSなどで、すでにご存じかとも思いますが、あらためて書いておこうと思います。9月6日の午後、パアララン・パンタオのレティシア・レイエス先生が亡くなりました。 その前日に、息子のジェイとメールのやりとりをしたばかり。コ…

本が出ます。

本が出ます。チラシもらったので見てください。蝦名泰洋 野樹かずみ 両吟歌集「クアドラプル プレイ」嬉しい(蝦名さん念願の短歌両吟集!)と悲しい(蝦名さんがいない!)が同時に込み上げてきて、喉が詰まって声が出ない感じ。 9月末刊行。手頃な価格と思いま…

エッセイ「あの日」

こないだ原稿を書いた雑誌が送られてきた。短歌の。30年前のことについて書いた。なかなか思い出す勇気もなかったことでしたけれど、えびなさんに読んでもらおっと思って書いた。まだ生きてくれていたから。書いたから読んで、ってメール送った。 誰にも言っ…

このさびしさはたからもの

死んだ友だちの原稿の整理をしているんだけれども。過去のメールをさかのぼるのが、なかなか大変。ときどきに記録してきたと思うんだけど、それでも、やっぱり変えます、とか、えっ、この詩は次の連もあったのかとか、見落としもあるから、チェックすべきだ…

カムパネルラ忌

遺書ならば、30年前に受け取っていた。 「私たちは、どちらかが先に死ななければなりません。そのことをかなしまないでください。そしてとり残されるはずのうたたちのことを、まるで朝起きてどうしても思い出せない夢のように、ときどき気にかけることにしま…

ウクライナの揚げパン

昨日の午睡の夢。どこか旅先で坂道を登っていったら、ウクライナに着いた。北のほうなのでウクライナなんだなと思ったけど、土産物屋が雑然とあるような路地だった。路地には小さな美術館もあって、美術品も展示してあって、それを見ながら、私は蝦名さんに…

夏の雲

受験生の夏。先月につづき、今月も進路指導の呼び出しがある。親の。何から何まで悩ましいのでしたよ。息子、模擬試験受けたり、予備校の講座(無料の案内がきたら)に行ったりしている。そんで撮り鉄して帰ってくる。夏の雲ですね。今月息子は、初めて女の子…

夏休み?

いつから夏休みが始まったかわかんないんだけど、夏休み。20日は文化祭で、息子は友人たちとバンド組んで、ステージ発表した。ピアノ伴奏。楽しかったらしい。グランドピアノとドラムとボーカルの男子3人組。コロナなので、生徒だけ。おジャ魔女カーニバル…

たぶん最後の

最後のメールは木曜日。4日前。夕方、スーパーの駐車場にいたとき受け取った。 「しばらくメールを使いたくない。なしてこったにつかいにぐいんだべおくりてんたけだけどよお」 「いいよ。じゃあ、またね。」と返事した。 たぶん最後の。 その前日かその前々…

檸檬爆弾

人生の難しさを、全身で感じているような日々。 だそうです、息子。 進路、志望理由書について、先生たちそれぞれの善意の指導に、いろいろ凹まされてきた息子が、なんかいきなり、先生に手紙を書きはじめた。 書き終えて、晴れ晴れした顔で「檸檬爆弾」と言…

飛ぶ練習

ああもう7月。 1か月、ブログ書かなかったのか。書くことがなかったのではなく、書けないことがたくさんだったのでした。家族それぞれに、胸いっぱいのことを抱えていて、抱えながら、日々、過ごしてる。 息子は進路のことで、あれやこれやと悩ましいし、模…

5月の雨

気がつくと5月も終わる。いろいろあるようなないような、日々が過ぎる。でも容赦なく日々は過ぎていて、こんなだらだらした一日一日も、取り返しようのない日々になるのだろうなと、息をひそめて思っている。 コロナの緊急事態宣言で、さらに延長で、またリ…