自閉症児のコミュニケーション(自閉症基礎講座第3回) その1

午前中療育センター。
自閉症基礎講座の第3回。
テーマは「自閉症児のコミュニケーション」言語聴覚士の先生のお話。

レジメの枚数の多さはきっと、コミュニケーションというものには、こんなにたくさんの能力が必要なのか! ということをあらわしているんだな。数回に分けていきます。

☆あなたと伝えあいたいんだけど?

何か言いたそうなのだけどわかってあげられない。
→相手に向かい伝える力

いくらことばをかけても聞いてくれない。
→相手が自分に期待していること(意図)を理解する力+自分の思いや状況に照らしあわせて何らか応える力

関わろうとしてもやりとりにならない。
→相手とやりとりすること自体を求め、楽しみ、継続させる力+相手が自分に期待していること(意図)を理解する力+自分の思いや状況に照らしあわせて何らか応える力

コミュニケーションに必要な力(自閉症児が抱えている難しさ)
 相手に向かい、相手に伝えきる力
 相手の表情や仕草などから相手の言おうとしていることを読みとる力
 相手によって何を期待できるか判断する力
 まわりの状況を複数の情報から取り込んでぱっと読みとる力
 表情や視線、仕草などを使って伝える力
 相手の言葉に込められた意味や気持ちを読みとろうとする力
 自分の要求の達成だけでなく、やりとりを楽しもうとする力

☆ことばとコミュニケーションの発達(いろんな力の出会い)
[感覚・運動・注意] を基礎に、
[人と関わる力・情緒、物事を理解する力、発声言語] がつみあげられ、その上に、
[多様なコミュニケーションの力]がある、という図。

多様なコミュニケーションの力とは、
 自発的(自分から相手に働きかける)
 機能的(場面や状況にあったコミュニケーション)
 応答的(お互いにつないでいけるコミュニケーション)

自閉症児の場合、コミュニケーション能力の発達に限界はあると思ったほうがいい。しかし、まわりの理解や支援によって学んでいけることはある。

自閉症児のコミュニケーションに及ぼす特性
 感覚の受け入れの問題
 物事の理解(想像力)の問題
 人との関わりの問題
 視覚と聴覚のアンバランスの問題

たとえば、「○ちゃん、お外に行くよ」と声をかけられて、反応がない場合、
「お外に行くよ」だけでは、だから何をすればいいのかが具体的にわからない。何を期待されているかがわからない。(人の意図や気持ちをつかむことができない)
目の前の玩具など自分の好きなものだけを見て、他の声に気づかない。
(感覚刺激の受け入れの難しさ。聴く力と見る力のアンバランス)
外出の準備、車の音がする、部屋のテレビが消してあるなどの状況の変化も、読みとれない。(状況からポイントをつかむことが難しい)

前回、前々回と重なる内容もあるので、かなり省略して話されたが、レジメはたくさん。順番に行きますが、その前に。

物事の理解(想像力)の問題、についての、書きこみ。
「複数の情報を総合してポイントをつかむ、ものごとのつながりと意味をつかむ、あいまいなことの理解が困難。しかし、見て分かること、論理的なことについては、理解がよい。みえる言葉を使って、論理的に説明してやること」

「みえる言葉」という言葉に、ちょっとぞくっとした私でした。

つづく。