春の旅 3日め 由布院~長崎

由布院、早朝は濃霧。窓から何にも見えない。田んぼの中の道を歩いていると、日の出。幻想的だった。Cimg7244



まっすぐ駅へ。結局、町も湖も見なかったんだけど、息子はそれでよかったみたいでした。道で私はきゅうりを拾う。歩いている目の前に落ちていた。大きなきゅうりが一本。
「ここは河童が出るから、河童の落とし物だよ、きっと」と息子が言う。
ああそう。お土産に持って帰った。

今日も揺られていく。日田で1時間のお待ち合わせ。ホームに降りると、木の匂いがした。駅舎に木のテーブルも新しい図書室があって、うちの近所の公民館の図書室程度の図書が置いてある。息子は宿題をしていたので声をかけなかったが、「窓際のトットちゃん」の通ったトモエ学園は古い車両を教室にしたんだったなあと、今頃気づく。(あとで息子に紹介した。学校の図書室にあると思うよ。)村上春樹宮本輝ドナルド・キーンなどもあった。なかに、「ホセ・リサールの生涯」という本もあって驚いた。こんなところで会うなんて。
慕わしい本があると、なつかしい場所になるね。
木の匂いはいい。この駅にはまた来たい。木の匂いを嗅ぎに来たい。

森の駅を出て、また久留米まで。お弁当買って、また乗り換えて、長崎へ。有明海。山から海まで、ずっと菜の花を見ていた。Cimg7271




長崎も中学の修学旅行以来。街の地図など見ずにやってきて、駅でようやく市電の路線図を見る。まずホテルに行って荷物を置いて、電車の一日乗車券を買った。このときに、息子は市電の全部の路線を乗ると決めた。

Cimg7272




グラバー邸の、花壇の前で、修学旅行の記念写真を撮ったことなど思い出す。
グラバー邸、大浦天主堂、おらんだ坂、それから坂道の路地歩いていたら、ピエール・ロチの寓居跡の石碑があった。

ロチの小説は、高校1年の国語の教科書に載っていた。鹿鳴館で花火を見る話だったと思うけど。担任が国語の先生で「ヴィ(生)」と言った。その声がまだ耳にある。先生はその頃30歳くらいだった。その後、定年間際に自殺したことがテレビのニュースで流れた。
そういったことを思い出した。Cimg7292_2







電車に乗ってはしからはしまでゆく。ときどき途中で降りて、観光する。平和公園も修学旅行で行ったが、まったく記憶がない。公園の石像、ソ連からとチェコからと東ドイツからのものが三体並んでいて、もうこの世界にない国からのものだと、不思議な感じがした。
公園にいた頃に夕焼けが来て、それからたちまち暮れていった。Cimg7299




めがね橋は夜なので、めがねに見えなかったけど、渡って、それから中華街でごはん。この旅はじめて店に入ってご飯。チャンポンと皿うどん、半分こずつ。