ここんとこ、息子も私も、咳が出たり、微熱があったりして、風邪かしら、黄砂のせいかしらと思っていたんだけど、土曜参観で学校に行ってわかった。息子のは、声変わりだ。男子たちの声の太さが、1年の頃とは全然違う。まるで黄砂みたいな、男子たちのざらざらした声のなかに、ざらざらしはじめた息子の声が混ざる。
教室は4階の端っこ。窓の外は、木の梢がさやぐ。あとは空。
黒板には杜甫の五言絶句。
江碧鳥愈白
山青花欲然
今春看又過
何日是帰年
なつかしいなあ。漢詩の授業で、4階の空あたりで、杜甫の詩を読む。窓からの風は気持ちいいし、これはずいぶんぜいたくな時間だよと思う。そんなこと、生徒をやってるときは、絶対思わないだろうけど。
帰りに散髪屋に寄るように言って、私のほうが先に校舎を出た。
バスを乗り継いで帰るんだけど、学校からだと混雑したバスに乗らなきゃいけないし、バス代の節約も考えて、大通りまでは歩こうと思った。天気もいいし。
歩いていたら、別の道が目にとまった。ふとそっちを歩きたくなり、寄り道、たぶん近道、と思ったけど、そうでもなかったかもしれない。バス通りを離れて、山のふもとの、畑と田んぼと、すこしの集落がある田舎道を、ひとりで散歩。故郷に似た景色の、なつかしい感じ。道を車がほとんど走っていない、人が全然歩いていない、あかるい昼下がり。
バス停3つ分だけ歩くはずが、バス通りにもどりたくなくて、結局、1時間ぐらい歩いたかな。なんかすごく気分が晴れた。この数日腰痛で、体も気持ちもだるかったのが、歩けそうなので歩いてみたら、歩いている間、痛みのことを忘れていた。途中からバスに乗った。たぶん家まで全部歩いたら2時間半くらいかかるかも。それがわかったのも、よかった。
息子は私より先に帰りついていた。髪、あんまり切ってない。もっと短くしてもらわないと、またすぐに散髪代がいるじゃないか、というのが私の不満だが、これ以上短くすると寝ぐせがつきますよと言われたらしい。
畑のいちご、金曜日が76個、土曜日48個。