秋の庭

金木犀の匂いに誘われて、庭に踏み入ったら、蜘蛛の巣に頭からつっこんでしまった。
でも気持ちのいい季節になった。秋海棠も咲いて、すっかり秋の庭。Cimg9093




金木犀の香を嗅いだら、ふいに「静かなドン」と「チボー家の人々」のことを思い出した。中学校の通学路に金木犀があって、きっと金木犀の季節に、読んでいたんだろう。

息子の愛読書は時刻表とか鉄道基礎知識とか地図帳とかそんなもんだが、学校の朝読の時間に読む本を、ときどき私に借りに来る。
それで適当に選んで積み上げといてやるとそのなかからもってゆく。こないだはギュンター・グラスの「私の一世紀」を読んでいた。これは読了。面白かったらしい。

ジェーン・エア」と「アンネの日記」は途中で挫折している。
日記を読むのって、他人のプライベートをのぞく感じで、落ち着かないって息子が言うのがふしぎだったわ。まあね、女の子の日記読まされてもね。

いまは「レ・ミゼラブル」を持って行っている。奥付を見て、「ママ、これ半世紀前の本だよ」と驚いていたが、
むかし古本屋で買ったか、ゴミ捨て場に積んであったのを拾ったか、どっちかだと思うな。
きみが読んでくれたら、本もうれしいよ。Cimg9071




本がもう、12ある本棚からあふれ出していて、生活を阻害するので、なんとかしなければならないのだが。
きれいな本は、人にあげたり売ったりできるけど、それもできないぼろぼろのものばかりが、思い出の顔をして、いつまでものさばっている私の本棚だ。
本棚、ひとつふたつ開けて、息子にゆずってやらないといけないんだけど。

その前に、床板の張り替えの残りをやって、畑の草ひきして、庭の木の手入れもしてやって、衣替えもしなきゃいけなくて。冬が来る前に、壁の隙間もなんとかしないといけないし。

チボー家の人々」とか読み返したいな。最近、夜になると目がかすむのが、それで本を読むのが億劫なのが、すこし悔しい。