星ヶ丘ゆき

kazumiの日常雑記

少年の嘘は

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朝、外に出ると胸にせまる紅葉。

さて。
他愛ない嘘をついて、その嘘を守ろうとして、嘘を重ねついて、
ということをしない子どもがいるとも思えないが、
子どもの嘘がなんでこんなによくわかるかって、自分が嘘つきの子どもだったからで、
パパなんか甘いわ、わりとやすやす騙されているけど、
相当に嘘つきだったわたしは、騙されたりしないのだった。
叱りながら、自分見ているみたいで、笑いたくなる。
子どもの私が、嘘がばれても、それでも嘘をつきとおしたのが、何のためだったか、それがどんな嘘だったかも、さっぱり思い出せないんだけど、ここは譲らない、退かない、と決意して嘘つきに踏みとどまっていた意地っぱりな心の感触みたいなのは、よく覚えていて、
その同じ感触を、時折、息子に感じるわけだった。
(どうしてばれるのって、息子は聞くんだけど、まあそういうわけなんだけど。)

なんせたいしたことのない、裏の裏まで見えてるような他愛のない嘘なので、そのまま、嘘をつきとおさせてやりたい気持ちも半分あるんだけど、それを容赦なくあばいてやる快感も捨てがたい。

それで思い出したのは中学校の図書室の光景で、そこで放課後を一緒に過ごした友だちのこと、彼女が好きだった詩のこと。

    「嘘」  丸山薫

少年の嘘は
さまざまの珍らしい夢をふくみ
波を縫ふ海鳥の白い翼の巧みをもち
ちちははもそれに欺(だま)されるときばかりが
少年の眼には世に崇高(けだか)く見えた
だが少年が悲しくないと誰れが云はう
あまりにも美しいものが遙かに飛び来つて少年の心に住(すま)ふとき
たとへば時ならず花がいちどきに咲き匂ひ
または遠い空の涯(はて)の夕暮がこの世を薔薇色にかがやかすとき
欺されてゐるのは自分ばかりだと
空や雲に涙を流さないと誰が云はう  

息子といるとき、自分の顔が二重になって、半分は中学生みたいな気分になっているんだけど、そういうことは、私のひそやかな楽しみにしておいて、言わないでおく。

きみの嘘に、さまざまの夢があるといいと思うよ。