星ヶ丘ゆき

kazumiの日常雑記

成人の日

成人の日、だったのか。息子は終わっていない冬休みの宿題をしていただけ、宿題するふりで、遊んでいただけ。私も、おまえはなんて腹黒いサンショウウオなんだ、とか言いながら、息子相手にじゃれあって遊んでいたが。遊んでくれるのもいつまでだろう。
振り袖姿の女の子たちの映像を見ながら、親のない子はどうするのだろう、と思った。
お金のない子はどうするのだろう。

そのむかし、私は自分の成人式に気づかなかった。その日、私はアルバイト先の喫茶店で、朝から夜まで働いていた。休みの日はそうだったのだ。着物姿の女の子たちが、次から次へとやってきて、なんだろうな、結婚式かな、と思いながら、水とおしぼりを運んでいて、あ、成人式か、と気づいたとき、世間との断絶を感じた。
私、どうすれば向こう側へ行けるのか、見当もつかなかった。どうすれば、水とおしぼりを運ぶ側でなくて、運んでもらう側になれるのか、どうすれば、着物なんて着れるのか、全然わからなかった。
たしかなことは、バイトしないと、大学の授業料も下宿代も、払えないってことだけ、私には全然お金がないということだけ。
でも、向こう側へ行きたかったのかというと、そうでもなかった。虚飾と思っていたもん。金使って着飾って、そんなことが何だろう、ばかみたいって。もし誰かに着物着せられて飾りつけられたら、恥ずかしさで死にそうになったと思う。
いらっしゃいませって、水運んだり、皿洗いしているくらいが、ちょうどよかったのだ。

子どもが生まれると、後ろに蹴散らしてきたはずの景色が、前方にあらわれてきて、どきどきする。学校に行くこととか、受験とか、そんなことをまた考えなきゃいけないわけ? みたいな。まあ、それなりに、楽しいからいいかと、いまは思うんだけど。

でもとにかく、私のところに生まれてきたのが、女の子じゃなくて、男の子でよかった、と思う。一年中黒ずくめのサンショウウオでも大丈夫。女の子たちの振り袖姿見たら、私、無理だわ、と思うもん。成人式に着物なんか着たがる子だったらどうしていいかわかんないし、私に似て、着物なんか着ない、式なんか軽蔑して行かない子だったら、それはそれで、また心配な話だよ。