おしゃべりな手

息子、一日じゅう鼻をかんでるほかは、熱もさがって食欲もあるのだった。昼ごはんもいるが、おやつもいる。去年冷凍しといた畑のイチゴとブルーベリーでケーキつくった。
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熱も下がって食欲もあるが、学習意欲はない。一週間学校を休むとなると、その間のノートを誰に写させてもらうかという話になる。他教科はともかく、数学は、ノート写させてもらわないと、たちまちついていけなくなる、と思う。数学のできる男子はたくさんいそうだし、誰かに借りれば、と言うと、でもノートをとっているとは限らないと言うし、ノートをとっていても、読める字かどうかはわからない、と言う。なるほど。息子のノートも読めた字じゃない。
じゃあ、女子は。TちゃんとかNちゃんとか。と私が言うと、どうして知ってるの、って言う。お母さんたちとお話したことあるから。でも女子は苦手、だそうである。

Tちゃんは、発表したり話すときに、手もおしゃべりする。たぶん無意識なんだけど、手をひらひらと動かしながらしゃべっていて、印象に残ってる。
昔、私もそんなふうな癖があったらしい。大人になってから、人に指摘されるまで気づきもしなかったんだけど。何か伝えようという気持ちがあるとき、そうなる。いろんな情報を整理して言葉にしようと集中するとき、手も一緒に動く。または、人と話す緊張をやわらげるためもあるかな。
いまは私、話すときに手を動かしたりしていないと思う。たぶん、頭も使ってないし、何かを伝えようという情熱もあんまりないというか、伝わらないと踏んだら、伝えようとも思わなくなってるというか、つまんない大人になったのである。
Tちゃんの手のおしゃべりを見たときは、すこし滑稽なその動きが、伝わるか伝わらないかわかんなくても伝えようとする、その一生懸命が、なつかしかった。
Tちゃんは話すとき手も動くよね、と息子に言うと、「Yちゃんはもっと動く」と言う。それは学年トップの女子ではないだろうか。英語の発表のときに、手のおしゃべりをやめなさいって先生に言われていたそうだ。
でもたぶん、手を動かして考えるんだと思うけどな。手をストップさせられたら、頭もストップしそうだけど、発表を続けたYちゃんはさすが。

指を動かす、で思い出したので、ネットで検索してみた。珠算の全国大会の動画。たぶん、きみの小学校のときの友だち、そろばん習っているK君も、ここを目指しているはずだよ。フラッシュ暗算とか、すごい早口の16桁の計算とか、もう信じられない世界が繰り広げられているんだけど、選手たち、そろばんを使うときだけじゃなくて、暗算のときも、ゆびが動いている。頭のなかのそろばんをはじいているんだろう。
すごいなあ、と言いながら、しばらくふたりで眺めていた。