なんでもない春の

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畑のゆきやなぎが満開。
去年は桜が遅かった。4月になってもまだ咲いてなかった。今年は早い、らしい。もう咲いているよ、とか、満開、とか、散りはじめている、とか、聞く。
向かいの森では椿が咲いた。でも桜はまだ。
まだ咲かなくていい。まだ春を迎える気持ちの準備ができてない。
と思いながら、畑に行って、こちらはもう、いちごの花が咲いていて、草取りも水遣りもしてやらなければ。
で、2時間ほど働いて帰ると、向かいの森の桜、咲きはじめているのだった。

帰省する前に宿題すませるつもりの息子だが、終わらないな。途中でネットで遊ぶし、駅まで遊びに行ったりするし、宿題たくさんすぎるし。毎日昼まで寝ているし。
息子、何日か前は微熱があった。休みになる直前は、すこし苛立っていた。聞いてみると、クラスの話はとるにたりないようなことばかりなんだけど、その語るほどでもない、なんでもないようなことのなかに、いろいろあるんだろう。友だちの少しのからかいに神経が逆立ったり、するらしい。

「ひとりだとわかっている場面のなかで、ひとりなのは全然いいんだよ。そうじゃないときに、みんなといるなかで、ひとりだと感じるのがしんどい」
というようなことを言うようになって、そういうことは、私も思ったよと、なんか、なつかしいですけど。
あなたはそれでどうしていたのかと聞くから、
本を読んでいた、と答えた。本を読んでいると、ひとりでいても不自然じゃないし、人も話しかけてこないし、他人の噂話とか、そんな話の何がおもしろいかわかんない話につきあわなくていいし、本読むのは楽しいし、だから本ばかり読んでいた。
そんなもんよ。きみは、音楽の話ができる友だちも、電車の話ができる友だちも、太宰の本を貸し借りできる友だちもいるんだから、上等だと思う。

あのころの、ときおり吹き上げるように込み上げてきた孤独感を思い出した。
どこかにもうひとりの自分がいて、その自分と出会えるのでなかったら、なくならない孤独だという気がした。孤独、という言葉も思いつかなかったけど。

まあ、そういうもんよ。
そういうもんでありながら、きみはきみで楽しく生きる工夫を見つけてほしいと思う。

週末から帰省。そのあと青春18切符の旅。
鉄道ファンは凄いよ、と興奮して教えてくれたのは、平壌から北京へ向かった列車の写真のことだ。「あの特別な列車を見逃さなかったんだよ」。