星ヶ丘ゆき

kazumiの日常雑記

両手を広げて

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家に男の子がいるというのは面白い。それも14歳くらいの男の子がいるというのは、本当に面白い。その子がすこし自閉スペクトラムの子なら、さらに面白い。
最近息子といると、兄といるようで、弟といるようで、昔すこしだけ憧れた同級生といるようで、どこかに忘れていたような私自身にも出会うみたいで、不思議な、夢のような、なつかしさの感覚に包まれて、暮らしている。


あるとき、息子が、ものわかりの悪い母に、何かをわからせようとして、両手を広げて「……なんだよ」と力説したときに、思い出したのは、寺山修司の短歌だった。

  海を知らぬ少女の前に麦藁帽のわれは両手を広げていたり   

へえ。男の子って、本当にそういうふうにするんだと、感動したのだった。
この歌の少年は、少女に海を教えようとしたのだ。両手を広げた息子が、私に何を伝えようとしたのか、感動のあまり忘れてしまったが。

寺山修司はやさしい少年だっただろうな、と思った。

気づくと、すでにゴールデンウィークらしい。週末に山口に遊びに行くというので、それまでに宿題は終わらせる約束の宿題が、遅々としてすすまない。
昼から机に向かっていて、数学は相似の証明のプリントなんだが、机の上には、いつのまにか、iPad(ゲームそのほか)や電子辞書(電車の情報がいろいろ)やカメラ(電車の写真がたくさん)や時刻表やノート(架空の町の架空の路線図の架空の電車の架空の時刻表作成中)が、載っている。
それらをひとつひとつ取り上げていく。
そんなに宿題いやなのか。

わからない、というより、証明問題なので、たくさん文字を書かないといけないのが、面倒なのだと思う。考えるのももちろん面倒だし。その気持ちはわからないでもないんだが、証明問題は怠けずにやっときなさい。怠けずに文字を書きなさい。いつか役に立つから。
人とのコミュニケーションは難しいでしょ。何か言って、わかるわかると共感してもらえるならそれでいいけど、なかなかそうもいかない。誤解されることも多い。そんななかで、自分の思うことを正確に人に伝えようと思ったら、せめて、ものごとを筋道たてて説明して、納得してもらえるような力を、身につけておかないといけない。
きみが、いまやってる数学の証明問題は、その訓練になると思うよ。

あれこれ励ましてはみたんだが、途中で力尽きて、寝た。
そのプリントいま見ているんだけど、いやだわ、宿題やっぱり。