星ヶ丘ゆき

kazumiの日常雑記

夏の旅 フィリピン 3

 

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7月27日。
バザーで販売するためのリサイクルバッグなどは、NPOハロハロさんを通じてお願いしておく。頼んでおいたのはすっかりできあがり、受け取った。注文を出したあとになって、バザーができる予定がひとつ入ったので、その分の商品は、こちらに来てから、買うことにしていた。息子も一緒なので、荷物はいつもの2倍運べる。
朝、近所の、製作者のロイダさんの家に行く。途中、舗装されてない、石と泥のややぬかるんだ路地を歩く。そこらじゅう、のら犬だらけなので、犬の糞、踏まないようにね、と注意する。息子、「舗装されてるところはいいんだけど、そうじゃないところは、石なのか糞なのか、見分けがつかなくてこわいよ」と言う。まあ、そうですね。
バッグや小物、あれこれ買い足した。

ロイダさんの夫が、タッパーのなかで飼っている虫を見せてくれる。小さな芋虫がもぞもぞ動いている。なんの虫だろうなと思っていたら、おじさん、虫をつまんで、ばくっと食べた。
私たちにもすすめてくれるが、息子はとんでもないという顔でおびえていた。もうすこし若かったら、私食べてみたいけど、胃潰瘍をやってからは、バロット(孵化寸前のあひるのたまご)も食べられなくなっているので、食べずにおく。
あれはおいしいの?とレティ先生に聞いたら、おいしいよ、と言うので、たぶん、おいしいのだろう。

学校に戻ると、新しい奨学生が来ている。アリーア、18歳。医療技術のコースで学んでいる。今年、パアラランの奨学生は6人。そのうち新しいメンバーがふたり。
授業のないとき、4人はエラプ校で、2人はパヤタス校で、アシスタントティーチャーをする。

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このアシスタントティーチャーが、アイヴァンのような子には必要で、私の子も、幼稚園のとき教室を脱走していた頃は、クラスをもたないフリーの先生にお世話になったし、教育実習の生徒さんが加配の先生のようについてくれて、そのお姉さんと一緒にようやくクラスの活動に参加できるようになったのが、5歳になった頃。
アリーア、立ち上がって窓の外を見ているアイヴァンの傍らにいる。

今年もパアラランは給食がある。今日はごはんと豚肉のアドボ。f:id:kazumi_nogi:20180805123957j:plain
私たちもお昼ごはん。朝、台所にエビがいたから、私たちにはエビのシニガンスープが出てくるな、と思っていたら、出てきた。私、大好き。
エビが嫌いな息子は困惑している。食べられないものは食べなくてもいいので、私が全部食べてあげよう。きみは給食を分けてもらいなさい。
息子がエビ嫌いなせいで、わが家の食卓にエビはのぼらない。私、1年分のエビを食べた。

きっと息子のためにごちそう作ってくれたのに、残念だ。シニガンの酸っぱいスープは少しなら飲めるが、そもそも、ごはんとおかずを混ぜながら食べるという、日本とは違う食べ方に抵抗があるようだった。

彼はどんなものを食べるのかと、レティ先生が聞く。うーんどうなんだろう。食べられるものは食べられる。でも食べられないものは食べられない。その線引きが微妙すぎる。
たとえば卵。卵焼きは好きだが、ゆでた卵や目玉焼きや生卵は食べられない。
そういえば幼稚園のお弁当は毎日同じだった。いつもと同じ、というのが安心感の源みたいで、違うものをいれるとそれだけ残してくる。時間をかけて3パターンぐらいまでは増やしたが。
マクドナルドはいつでもどこでも同じ味なので、安心して入れるお店だ。カップヌードルも大好き。
たくさん買ってきてるから、お腹がすいたら、カップヌードル食べるから大丈夫だよ。

その息子、なかなか手ごわいのだった。旅に出たがるくせに、すこし環境が変わると、調子を崩す。去年の夏はひどい便秘になった。熱まで出て、結局病院に行ったのだ。
今回は一週間という長い旅(しかも海外)なので、便秘薬と頓服と、薬持参。

息子、ここに来てから顔もろくに洗わないし、体を洗うのもいやがるし、家にいるときも、いちいち言わないと動かないが、ここでもそうで、というかそれ以上で、もういいかげんにしてほしい、と怒ったら、彼は言った。
「だって、トイレ、蟻がいるから」

蟻。蟻?蟻! 蟻が怖くて、トイレにすわれない。蟻が怖くて、髪を洗えない。
いや、小学校低学年までは、蟻が怖くて、石に触れない、とかもあったけど、いまも、ですか。
「それにミミズも」
長いミミズ状のものは、私が八つ裂きにしましたが。

息子の話はいいわ。つづき。

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午後、買い物があるのでSM(大きなショッピングモール)に行く。グレースも給食の食材の買い出しに行くので、一緒に行く。
通りに出ると、ジプニーやトラックがひっきりなしに通る。信号はないので、数人で一緒に車の前や後を横切る。人前で手をつなぐのをいやがる年頃だが、そんなことはかまっていられないので、腕をつかんで一緒に渡る。
ジプニーを待つ間、通る車を片っ端から撮っている。彼には彼の面白さがあるのだろう。ジプニー満車で通りすぎてゆくので、トライシクルに乗る。途中でジプニーに乗り換えて、SMまで。

 

ピアノを弾きたいというので、楽器店に行くと、電子ピアノがあった。頼んだら気持ちよく弾かせてくれる。お礼を言って帰ろうとすると、店のお兄さん、こっちのほうが音がいいよと新しいのを弾かせてくれた。
スーパーでは、カートの大きさにおののいていた。たしかに日本のスーパーとはくらべものにならない大きさだ。ドライマンゴー探す。
また別の店で、肉など買う。給食なので、たくさん。カートを押したことは、夏休み帳のお手伝いのところに書いてもいいよ。
チョウキン(中華風のファストフード店)でハロハロ食べる。彼はガイドブック見て、ハロハロが食べたいと言ったのだ。かき氷とアイスクリームと果物など混ぜて食べる。私も久しぶりに食べた。

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帰り、タクシーを拾うために、スマホで、グローブの配車アプリを利用する。はじめて知ったが、とても便利そうだ。というか、マニラの街によく合ったシステムだ。

「この街の車線はとてもフレキシブルだ」と息子。「たぶん誰も車線を守って走ってないし、3車線のはずが4車線になったり、5車線になったりしているし、朝は右が3車線、左が1車線のところが、夕方は逆になっている。」
言われてみれば、そうですね。

「マニラ、半端ねえ!!」

 

学校に戻ると、息子はたいてい校長机(物置)のところにもぐりこんでしまう。人前に出るときも腕を組んだままだし、笑わないし、あんまりよくないなあと思って、
「もしかして緊張してる?」ときいたら、
「あたりまえじゃないか」と返ってきた。「日本で日本語使ってさえ、コミュニケーションは難しいのに、まして英語で、何話せばいいかわかんないし。」
そうかあ。日本でコミュニケーションが難しいのは同感だが、私はここは楽だったけどなあ。でも、さしあたり笑顔でいようよ、きみ緊張すると目つき悪くてよくないよ。
「英語の先生は日本人のあいまいな笑顔はよくないって言ってたよ」などと返してくる。
英語もできないなか、たいていのことを、へらっと笑ってしのいで、ゆるしてもらって、やってきた私としては、立つ瀬のない言われ方だが。

息子、ああ言えばこう言う状態なのだった。思うにたぶん、自我がゆらいでいるのだ。

 

ここはどこですか。ママの大切な友だちのおうちですから、友だちだから警戒しなくていいので、きみがどんなふうでも、レティ先生たちいままで、ほんとにいろんな子どもたちや日本の学生たちを見てきているから、きみがどんなふうでも全然平気なので、リラックスしなさいね。

それでも夜、アイヴァンの話から、息子が小さかった頃の話をしてやると、めちゃくちゃ面白がっていた。他人事みたいに笑っているけど、きみのことだよ。いや、ほんとに面白い子だったわ。