星ヶ丘ゆき

kazumiの日常雑記

フォレスト

冬休み最後の日曜日、息子は体調を崩したらしくて、吐いた。体が痛いとか、頭痛がするとか、寒気がするとか、絶不調。翌日は学校で、冬休み明けの試験がある。試験受けられないと、後日受けることになるし、そのときは点数が8割しかもらえないから、試験は行くといっていたが、
朝起きると熱がある。インフルだとまずいので、病院に行った。インフルじゃなかったけど、点滴。息子はもう、学校に行く気はなかった。「2割引きでいい、これで行っても4割引きだ」
寝てればなおるので、寝る。こんこんと寝ていた。

夜、たまさかテレビをつけたら映画「フォレスト・ガンプ」がはじまったところで、なつかしいな。息子を誘って一緒に見た。
この映画、私はパパにすすめられて見た。結婚するずっと前。パパは義父さんにすすめられて見た。あのころはまだ、自閉症の知識もなかったから、妙にシンパシーを感じるけど、軽度の知的障害者かな? と思っていたのだが、
いま、自閉症と自覚してから見ると、その特性の際立っているところなんかは、息子とふたりで、出たよ、これだよ、と顔見合わせて笑ってしまう。
ジェニーが「Ido love you.」と言った「 do」は何かと息子が聞く。そんな使い方は習ってないって言う。強調だけど、たぶん。(行為の do かもね。とちょっと言いそうになって、おっと思春期の男の子だ、と思い出して、言うのをやめた。)
息子が、映画のなかで一番すばらしかったと思うのは、フォレストが、死んだ戦友との約束を守ってエビ漁をはじめて、それが大当たりするところ、だって。
私が一番すばらしかったと思う場面は、「Ido love you.」の場面の前、ジェニーが最初にもどってきたときに、眠りつづけるジェニーを、ずっと眠らせてあげたことだ。

思えば私のまわりには、フォレストに似た友人たちが何人もいて(お金がないのは似ていないが)それはとても幸福なことだ。

息子、翌日もこんこんと眠って、午後遅くに起きて、夜、試験のことが不安らしく、数学の課題プリントを見ていたが、何げなくその文字を見て、気づいてしまった。それ、その課題、自分で解いてないでしょ、答え写しただけでしょ。
いや、全部じゃない、わかんないとこだけ。と言うのだが、よくよく問い詰めると、答え写したからって、わかんないところがわかるようになったわけではなく、しかも、どこがわかってどこがわかんないかも、結果わかんなくなっていたりして、それはもう、生き方がだめじゃんって話よ。
わかんない問題を赤ペンで囲ませるところから。
ま、ね、わかんないからって白紙で出せないわけだから、写すのはしょうがないとして、そのときは赤で書く、赤で。

大学のとき、全然勉強してなくて、語学の試験受けないといけなくて、困った私は、「私はわかりません」という言葉だけ覚えて行った。それで、答えられないところ、わからないところ、すべて、「ウォカンプドン」とか「ヤニェズナーユ」とか、書いたわけ。どの単語がわからないのか、それも囲んだり下線を引いて、「わかりません」だらけの答案を出した。
「それでどうなった?」と息子が聞く。中国語はCだったけど、ロシア語はAだった。わかりませんも答えのうち、だって。
「おお」
うん、あのロシア語の先生は異様にやさしかった。交通事故で亡くなってしまったけど、先生のおかげで、いま息子にこういう話ができる。
とにかく「わかりません」は恥ずかしくない。解けないのに解けたふりしてたら、その嘘で苦しいでしょ。で、たんだん腐っていくんだわ。自分が自分についた嘘で。
驚いたことに、息子、泣いてた。よほど不安だったのだ。数学。


翌朝、まあまあ元気に、2割引きセールの試験を受けに行った。気楽にやればよろしい。午前中ずっと職員室で試験を受けていて、それはそれで面白い経験だったそうだ。