遠い青春の裏小路から

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という記事を見かけた。
それはない、というか信じられない思い。それはもう、だめなんじゃないかな。

1年ほど前に、セクハラスキャンダルのせいで、高銀が書いた日本軍慰安婦を追悼する詩碑が撤去された、というニュースもあったけど、それは撤去が自然、と思う。高銀のノーベル賞もないだろうな、と思う。

でも「親日詩人」が理由で撤去、はどうかしてる。愚かとしか思えない。

 

手もとに、徐廷柱(ソ・ジョンジュ)の詩を収録してある本が何冊かあるので、ものすごく久しぶりにめくる。埃くさくて咳が出る。
「朝鮮詩集」「再訳 朝鮮詩集」「未堂・徐廷柱詩選 朝鮮タンポポの歌」「現代韓国文学選集5 詩集」

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一番好きな詩を書いておきます。「朝鮮タンポポの歌」「現代韓国文学選集」所収。撤去する?という詩は、これではないかと思う。金素雲の訳。

     菊の傍で   徐廷柱 (訳 金素雲)  

 一輪の菊を咲かそうとて
春からホトトギス
あんなにも啼きたてたのだろうか。

一輪の菊を咲かそうとて
雷は黒雲の上で
あんなにも轟き渡ったのだろうか。

つきせぬ心の名残りを
遠のいた若さへとどめて
いまは立ち帰り ひっそりと鏡の前に立つ
わが姉によく似た花よ。

黄色いその花を咲かそうとて
それでゆうべは あんなにも初霜が下り
それでわたしを 夜っぴて寝つかせなかったのだろうか。

 

金素雲の訳から半世紀ぐらいは過ぎたのだろうか。最近だと思う、ネットの検索で見つけた蓮池薫さんの訳が、すごくいい。


 菊の横で

     徐 延柱    蓮池 薫 訳


 一輪の菊を咲かせんがために
 春からコノハズクは
 あんなにも鳴いたようだ

 一輪の菊を咲かせんがために
 雷は黒雲のなか
 また あんなにも鳴ったようだ

 恋しさ無念さに胸締め付けられた
 遠い青春の裏小路から
 いま戻って鏡の前に立つ
 わが姉のような花よ

 真黄色いおまえの花びらを咲かせんがための
 昨夜は初霜があんなに降り
 私も眠りにつけなかったようだ
 

 

遠い青春の裏小路から……。万感迫る。