星ヶ丘ゆき

kazumiの日常雑記

久しぶりにムーミン

「あなたはこのあとどうやって生きていくつもりなの」
と、担任はムーミンに言っていたそうだ。久しぶりにムーミンの話を聞く。
算数は教科書の最後のまとめの問題をやっている。たくさんあるが、早くすむ人もいて、すんだ人は二回やる。
インフルエンザで休むこともなかった息子は、二回目もすんでしまったので、先生を手伝って、遅れている人を教えていた。一番遅れているのがムーミンなのだったが、怠けていて注意されたムーミンは、○○くん(私の息子)が教えてくれないからできないんだと先生に言ったそうである。それで担任は言ったのだった。
ムーミンはお母さんにも同じことを言われているらしいが。
「どうしてぼくばかり、怒られるんだろう」とムーミンはぼやいているらしい。

「ぼくはずっとムーミンを教えていたんだよ、たまたまそのとき、ほかの人に呼ばれて、ほかの人を教えてたんだ。でもムーミンは昔はもうすこしできたと思うのに、なんでこんなにできなくなっちゃったんだろう。計算ミスもすごいんだ」と言う。
計算ミスのことは、他人のことは言えないだろう、と思うのだが。
ムーミンはずるかったんだよ。自分で勉強しないで、人のノート写してごまかしていたら、できなくなるよ。
今日、担任は息子のために算数の問題集をもってきて、息子はムーミンを教える係りから解放された。
受検勉強していたときは問題集解くのはつらかったが、いまは受検と関係ないので楽しいらしい。

冬休みの前、ムーミンが授業中にカッターナイフを出して、いやな奴はこれで刺してやる、と物騒なことを言っていたことは、先生の耳に入り、親にも連絡がいき、叱られて、父さんに頭を坊主にされるという顛末だったが、坊主頭になると、もうすっかり印象が変わって、幼児っぽかったのが、いきなりおじさんっぽくなって、それがもう、甘えられない年齢になったなあといかにも痛ましかったんだけど。

坊主頭のムーミン、しばらく、ヤクザとけんかして勝った、とか、道歩いていたら、ヤクザに間違われて、まわりがこわがって道をあけたとか、わけわからないことを言っていたらしく、「嘘だよね」と、これまでムーミンの嘘を真に受けて、ふりまわされたり傷ついたりしてきた息子もさすがに、阿呆らしく思って、まともにとりあってない。

はじめのうち、それは、ごく子どもらしく見えた。ムーミンが私の息子に、何かいやなことを言ったりしたり、嘘をついたりする理由は、だってぼくに冷たくするから、遊んでほしかったから。
ほんのすこし前まで、すこし幼いかな、という感じがしていた程度だったのだが、歳月のむごさに、ちょっと胸が詰まる感じ。
まわりの子どもたちの成長はすさまじく、ムーミンはもうすっかりついてゆけなくなった。
休み時間は下級生を追いかけて、時間を潰している。
そしてまた叱られている。

ムーミンは、指定中学ではなく、トンネルの向こうの小規模校に進むらしい。クラスの人数も少ないし、落ち着いているし、いい選択だと思う。ささやかでいいから、努力して、自分の中身をつくってゆけるといいと思う。

私は息子に言う。
「自分がうまくいかないことを、他人のせいにする人間とはつきあうな。あんたもそういう人間になるな。もしあんたがそういう人間になったら、お母さんはあんたとつきあえない。でもそれはかなしいからね」