歓送迎会

担任に「チョウチョ先生」ってあだ名をつけたのは、若くてかわいい女の先生で、ノートにはなまるだけでなくチョウチョも飛ばしてくれるからでしたが、最近は「親分」と読んでいる。
なんか、たよりになるんである。いじめられた、って言いつけたら、その日のうちに解決するんでした。
もう最近は、悩む前に親分に言う。
何日前か、バス待ってるときにいやがらせをされた、って言う。またかい、って思うんだけど、誰にってきいたら、下級生の男子だって。下級生……。
それ、じゃれてるだけだと思うよ。思うけど、バスカードをとられたとか(でも、バスが来たら返してくれた)、ガードレールの外に押し出されそうになったというので、それは危ないし、まずいなあ。
で、親分に言う。
翌日の夕方には、相手のお母さんから、お電話もらいました。さすが、親分でした。



日曜の午前中、子ども会の歓送迎会。

登校班の注意事項を、私はしゃべったんだけど、遅れないようにとか、列を乱さないようにとか、バス停でふざけてたら、学校に言いつけるよとか、いろいろ言わなくちゃいけなかったんだけど、子どもたちが、それをおとなしく聞いているの見たら、なんか、いきなりいじらしく見えてきて、この坂道を雨の日も風の日も、毎日通っているというだけで、あんたたちじゅうぶんえらいわよと、思ったことだった。

息子の週末の作文のタイトルも歓送迎会。だが、何書いていいかわからん、と言う。
ママも書くから、がんばれよ、と言ったら、「何書くの」と言う。ごく短いエッセイ。「それ、面白い?」。もちろん。「読みたいなあ」
おお、うれしいことを言ってくれるね。
でも読ませない。もうすこし大きくなったらね。

それで息子の作文だが、「歓送迎会は、まあまあ面白かった。つまり、満足できるほど面白くはなかった」そうでした。
ほんとね。あんたの母さんも含めて、役員さんたち、これでもいろいろ大変なんだけど、いまいちだよね。

それで息子の作文だが。
男の子だからかなあ。ここんとこ、軽はずみにウケを狙ったりするようになって、何かしらうわずった感じが、見ていて恥ずかしいのだったよ。
面白いこと書かなくていいからさ、落ち着いて本でも読もうよ、と声かけてみるが、
聞いてない。