星ヶ丘ゆき

kazumiの日常雑記

長い旅をいっしょにしてきた

舞台美術家の第一人者、朝倉摂さんが死去、というニュース http://www.nikkansports.com/entertainment/news/f-et-tp0-20140327-1276306.html

私、この人の挿絵の絵本、幼稚園のときに買ってもらったのをいまでも宝物みたいにもってる。「幸福な王子」と「クリスマスキャロル」。昭和44年刊行。

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 子どもの頃、絵本がたった3冊だけ家にあった。世界文化社というところから、世界の名作絵本のシリーズ(全22冊)が刊行されて、最初の3冊だけを買ってくれていた。そのあとはお金がなくて買えなかった、と言っていた。

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 1巻が「フランダースの犬/母をたずねて」、2巻が「マッチ売りの少女/雪の女王」、3巻が「クリスマス・キャロル/しあわせな王子」だった。

 3巻めが、朝倉摂さんの挿絵だった。

 その3冊はいまも私の傍らにある。長い旅をいっしょにしてきた。

 スクルージさんと幽霊も、王子さまのツバメも。

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 90年代の終わりころ、東京で、児童館で働いていたときに、そこの図書室に、私が3冊しか買ってもらえなかった世界の名作絵本シリーズが(1冊欠本)あった。挿絵を描いているのは、朝倉摂杉田豊司修佐藤忠良と、そうそうたる顔ぶれである。豪華な絵本なのだ。

 ところが、その絵本を捨てる、という。あちこちからもらった本が本棚に入りきらないので、古い本から処分するっていう。私は大喜びでゴミ捨て場に出すべく括られた本をもって帰った。

 それから、しばらくして、司修さんに会うことがあり、どきどきしながら、絵本二冊もってって、サインしてもらった。不思議の国のアリス秘密の花園

 「拾ってくれてありがとう」って書いてもらった。すごーくうれしかった。夢のようでした。

 ところが、だ。息子が赤ちゃんのときに、絵本をめくっては破りめくっては破りしていたときに、よりによって、サインもらった本を破ったねえ。

 修繕しながら涙でそうだった。

 きみにあげる絵本だよ、と思っていたが、息子、一度読んだだけで、あとはもうそっけない。

 私はいまも思い出す。スクルージさんがおわりの幽霊につれてゆかれる場面の絵が、ページをめくる度に私はほんとにこわかった。

 王子さまのツバメに会っていなかったら、人生はちがっていたかもしれません。

 ずっと、一緒にいてもらった気がしてる。

 そして、ずっと一緒にいてくれたツバメは、朝倉摂さんのあの挿絵のツバメなのだ。

 もう死ぬまで、つきあってくださいと思っている。

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こないだふと、思い出したんだ。そういえば。

 

過去現在未来の幽霊みんなが心配していたスクルージさん