手帳のない障害者が、福祉について要望すること

療育で一緒だったDくんのママが、アンケート用紙をもってやってきた。障害者の親の会が、手帳のない障害者を応援しようとアンケートをとっているが、手帳のない障害者は、名簿があるわけでなし、把握することそのものが難しいので、人づて口づてでまわしている、という。
で、書いた。だいたい下記のようなこと。


     手帳のない障害者が、福祉について要望すること

子ども(7歳男子)が3歳半のときにアスペルガー症候群と診断されました。
診断されていませんが、父母ともにアスペルガー症候群だと思います。
障害としてはごく軽度なのだと思うけれども、子どもも(もちろん親も)手帳の類はいっさいありません。
いまのところ、子どもは通常学級でなんとかやっています。

障害の程度として軽度であっても、生きにくさは深刻なのが、この障害の特徴だと思います。
親の経験を振り返って考えると、就労が不安です。能力があっても、人間関係や長時間労働などの就労形態がたいへんなストレスなのですが、そのようなストレスはまず理解されません。わがままとしか思われない。
無理すれば、健常者と同様に振る舞うことができ、そのように期待もされるので努力しますが、無理はつづかないし、心身に変調をきたして、結局、仕事をつづけることができなくなります。
親たちは、ふつうにやっていけない自分が悪い、体を壊したり、精神を病んだり、ひきこもりになったりした自分が悪いと思いながら生きてきて、子どもが診断されるまで、その生きがたさが、アスペルガー症候群という障害に由来するのだとは夢にも思いませんでした。ですので、それが、福祉の対象になるかどうかもわからず、また、行政に何を求めればいいかも思いつきません。

いまのところ、子どもが幼児のときに療育に通うことができ(それで親も子どもの障害特性を把握することができ)、就学相談なども細やかに対応してもらって、まわりの大人の理解を得られていることに感謝しています。
医療補助があるので、療育での医師の診察も継続して受けることができ、相談もできていますが、もし、無料で診察してもらえるということがなければ、金銭的にも無理だし、体の病気のような緊急性もないわけで、診察を続けることはできないと思います。

いまのところ、思いつくこととして、要望をあげるとすれば、
まず、高校卒業まで、あるいは成人まで、手帳のない子どもも、金銭的に無理なく診察を継続できるように望みます。
就学をなんとか乗り越えて、次に心配なのは思春期の葛藤や人間関係などですが、その頃に相談できるように。
次に就労相談の窓口が欲しいと思います。人によっては、一般の就職活動も、ハローワークに通うことなども困難だと思います。
健常者と見分けがつかない手帳のない障害者が、後ろめたくなく安心して相談できるところがあってほしいと思います。
以上です。

封。