気にしたら負けみょん

「気にしたら負けみょん」 と息子は言うのであった。

昨日の夜、時間割したか、とパパが声をかけたのだった。「した」って言う。鉛筆といだか、とパパがさらに声をかけると「大丈夫、問題ない」って言う。
ところがだ、たいていの荷物はランドセルにつっこんだままである。特別に必要な絵の具や習字道具や辞書を忘れさえしなければ、忘れものはまずなくてすむ。そうして無駄におもたいランドセルを背負ってゆくんだが。
鉛筆は、クラスに鉛筆削りあるし、家で研いでなくても学校で研げばいい。もしも研ぐことを思い出したら、の話だが。
さてそれで、言われた息子が時間割をもう一度やったかやらなかったか、鉛筆を研いだか、それともパパが見かねて研いでやったのか、私は見てないんで知らないんだけども、それからどういう話の流れだったのか、息子、

頭にバスタオルのせて、お風呂場に行きながら、
「気にしたら負けみょん」と言うのであった。

なんか、唖然とその後ろ姿を見送ったことだった。



学校で、いろいろ言われるとへこむ、という息子に、私も言うんだけど。気にしないことだよって。
あのさ、悪口っていうのは、よく観察してるとわかるんだけど、本当は言われるほうよりも言うほうによくあてはまるんだよ。キモイっていわれたんだよね、それね、そういうことをずっと言ってる子は、何年か後にはとってもキモイ子になるよ。カスっていうのも言われたんだよね。その子は大人になってからカスになるかもしれない。大人になってから、キモかったりカスになったら、それはたいへんだと思うよ。
だから気にしない。何か言われてへこんだり腐ったりしたら、負け。相手の思うつぼ。立候補のスピーチで、「いじめのない学校にしよう」って言うんでしょ。すごいと思うよ。ほかにそんなこと言う人いないでしょ。それは勇気のあることだし、すごいことだよ。きみはいいお兄さんになるよ。



今朝、学校に行くとき、息子がふいに言った。
「ママが励ましてくれるから、ぼくはやっていけるよ」
ほんとに不思議だと思うのは、この子が、そういうことを口にして言えるっていうことで、きみはえらいなあと、わが子ながら、恐れ入る。

ありがとう、とか、ごめんなさい、とか、私にはほんとに難しい言葉だったんだよ。好き、とかね、そういう言葉もさ。