成長曲線

発表会、と入力したら、はっぴ妖怪、と出て笑ってしまったんだけど、

こないだの発表会のとき、ホールの外で受け付けの順番を待っていたときに、もれ聞こえてきた曲について、
「ぼく、次はこれを弾きたいんです」と息子が言った。
なんの曲?
と聞いたら「さあ」って言う。あんたが知らなきゃ私が聞いたってわかんないよ。

私は、その日息子が弾く予定の曲名の「カンタービレ」がなかなか覚えられなかったんである。
カ、カンカン、カント、カンダタ、なんだっけ、みたいなさ。

カタカナとか数字とか、全然覚えられないのだ、もう。
むかしむかし、高校の世界史のテストで2回連続百点満点とったことが信じられない。あれは数字とカタカナのオンパレードだったのに。

さて、次に弾きたい曲だが、「これです」
と言って、帰ってからピアノでパラパラ弾いてくれるが、わからんって。
すると、今度はピアノが勝手に鳴り出した。
電子ピアノのなかに50か60か内臓されている曲のひとつらしい。
でもそれが何かわからん。

ようやく楽譜を探し当てた。モーツァルトピアノソナタらしい。
ユーチューブで探したら、小学生の男の子が弾いていた。

http://www.youtube.com/watch?v=8Hdw9xJAcR8


上手だなあ、指長いなあ、と思いながら、見ていて、ふと気になって検索したら、
この子、この演奏の数年後に亡くなってるんだね。
親はどんなにせつないだろう。

たぶん、いっときのことだろうが、息子の鼻歌がヤマトからピアノソナタにかわってすこしうれしい。ヤマトの鼻歌は去年の秋からずっと続いていて、私はもういい加減ゆるしてほしかったのだ。

昨日の早朝、義父さんが電話をかけてきて、いきなり話しだしたのは、息子の背か低いという心配で、子どもの低身長の専門家がいるという話をどこかで耳にしたらしいのだ。それで調べてくれたらしい。
その専門家を以前に訪ねた話は、すでにしてると思うのだが、小学校に入学する頃だから、すでに4年たつのか。
成長曲線の用紙をもらっていて、この曲線から下になったら検査に来てください、と言われている曲線の、ぎりぎり上のところをキープしつづけている。
あと1ミリか2ミリ下なら要検査だけど、いまは検査不要、のラインだと説明する。前に行ったときも2時間以上も待って、問題ないです、と5秒で診察終わって帰りましたけど。
でもそのグラフをもって一度見てもらったほうがいいんじゃないかと、まあ義父母さんたちは心配なようでした。

同年齢のまわりの女の子たちが、どんどんでかくなり、体型も変わっていくのには目をみはるけど、体型も変わらず、何年も同じ服で、経済的なありがたい子ですけど、
こないだの発表会、はじめて補助ペダルなしだった。伸びたじゃんね、背。

いいんだよ。

ピアノ続けるんだって。そんなに情熱があるとも思えないんだが、練習のいいかげんさにもあきれるけど、やめないって言う。
音には精神が映ると思う。上手下手でなく、ごまかしがきかない何かをもっているというのは、悪いことじゃない。

それで私は、ユーチューブなんか検索したせいで、「のだめカンタービレ」のドラマを、ずーっと見続けていた3日間。
ようやく、カ、カンカン、カント、カンダタのだめカンタービレカンタービレ、と頭のなかに回路ができた。
もう間違えずに言えると思うけど、カンタービレ、私、もの覚え、ほんとに悪くなった。もの忘れはすごくよくなった。

最近、自分が書いた短歌も3分後には忘れてる。