星ヶ丘ゆき

kazumiの日常雑記

水陸両用自動車

七夕は、わしには盧溝橋事件の、提灯行列のことよ。

こないだ老人ホームで死んだ同郷のおじさんが、何年前だっけ、たまたま七夕の日に行ったら、そう言った。にぎやかな提灯行列だったって。南京陥落のときも。小さな静かな町が、ふいのお祭りに沸いたのだろう。おじさんはたぶん、いまの私の子どもくらいの年齢だったはず。



それから76年後の七夕。
昼間、大雨だったけど、夜はやんだ。

その大雨のなか、パパと息子は街へでかけた。電気屋さんに。
昨日の夜、子どもはパパに言ったらしい。

「ぼくは今度、水陸両用自動車をつくるんだ」

なんでも、理科で電池について習っているらしく、それで電池を使った玩具をつくるらしく、その設計図までかいたらしい。
理科のノートにかいた設計図は、先生から花丸もらっていて、子どもはそれで、ぼくはできる気まんまん、だったらしく、

おまえはなんにもわかってない、水陸両用なんて無理だからやめとけ、
とパパに言われて涙目。
チョウチョ先生(担任をこう呼んでいる)も、こんないいかげんな設計図に花丸つけたらダメじゃないか、
ってパパが言うので、たぶんこの設計図はダメなのだろう。

だいたい、電池の直列つなぎ、並列つなぎぐらいで、私はもう頭に???が浮かぶし、電池なんてそんなものさわったら、感電死するんじゃないかとか、いまだに電池のとりかえひとつもどっか緊張するくらいなので、

そのあとパパが、玩具の潜水艦を分解して講義はじめても、私もう難しくてつきあってられませんが、
息子はけなげに聞いていた。

難しいからやめとけと言われても、あきらめられないのだ。父と子の、なんだかかみあわないけど、妙に熱い議論がつづく。

それで今日、ふたりは電気屋まで水陸両用自動車を探しに行った。
それで、水陸両用自動車のプラモデル買って帰ってきた。
次の理科の時間までに、これを組み立てて仕組みを理解して、ぼくオリジナルの水陸両用自動車をつくるんだそうだ。

息子、自分のかいた設計図をながめながら、
「ねえママ、先生、これ、まるくれてるけど、しろうとだよね」
って言う。
しろうとにまるもらって、いい気になってたのだれですか。

・・・・・

おかあさんもしろうとですから、口出ししませんけどね、

ふりかけがないとご飯食べれないくせに、毎日ふりかけふりかけるのに、いまだに、ふりかけこぼさずに、ふりかけふりかけられない、不器用なきみが、ですよ、お箸のすきまから、ぽろぽろいろんなものをこぼすきみが、ですよ、
どうやって、水陸両用自動車とか、そういう両生類みたいなものを、つくることができるのか、まったく想像つかないんですけど。

ある日、どうにもならないガラクタを、学校から持って帰るんじゃないだろうかという予感もなきにしもあらずだけど、

「だからママは、油性ペンとか、蛍光ペンとか用意しといてね」っていうので、
用意しなければ。