「やんちゃなマルキーニョ」

すてきな絵本の紹介です。
ブラジルからきた絵本。
世界子ども通信「プラッサ」で紹介されていて知ったのですが、これはほんとうにすてきだ。

「フリッチス ふしぎな色の旅」(作・絵 ジラルド 訳・松本乃里子 桜風舎)と、
「やんちゃなマルキーニョ」(作・絵 ジラルド 訳・松本乃里子 静山社)。

「フリッチス」は、だれにも似ていない色、だれに見つけてもらえない、孤独な旅をつづけます。そうしてもちろん、最後には輝く自分を発見するのですが、フリッチスだけでなく、ひとつひとつの色がほんとうに鮮やかです。とてもシンプルで、美しいです。

「やんちゃなマルキーニョ」は、100ページほどの本。1ページに1行~数行ずつの弾む言葉を、どんどんたどっていって、最後のページで思わず泣きます(大人はね)。子どもは、100ページ全部、大喜びです。

「マルキーニョを知ってるかい
知りたがりやの 見たがりや
ちっとも じっとしちゃいない
はやてのように かけまわり
地球だって ひとまたぎ
頭のなかから アイデア
どんどん どんどん でてきちゃう
とにかく ヘンテコリンな やつなんだ
マルキーニョは ほんとに すごいやつ
どんなことでも 知ってるよ 
知らないことは ただひとつ
どうしたら じっとして いられるか」

というふうに、マルキーニョの子どもの日々が、軽快につづられてゆきます。たのしいことだけじゃなくて、かなしいことも、さびしいことも、いろいろあるんだけど、はずむような生命力が、すごくすてきな、絵本です。

ちびさん、ひとりで何度も読み返して、マルキーニョは、いちばん背がひくいこととか、リクツを考えることとか、
(うちのりくしくん、あんまりリクツを言うので、りくつくん、と呼ばれている。しばしば、ヘリクツくんなのだ)
自分なりに共感できることが多いらしく、
すっかりマルキーニョになりきって、
「ママ、ぼくはとってもしあわせな子どもなんだ」
とうれしそうに言っている。

しあわせな子ども。

いつか大人になって、きみがほんとうにつらくなったときに、そのことを思い出せるといい。
そしたら人生はそこから、またあたらしくはじめることができるよ。
だってマルキーニョは、生きる喜びにあふれているから。