バイカル湖より深い味

知らない印刷屋さんから電話があって、高校の同窓会の名簿をつくっているという。つきましては寄付のお願いを、って言う。それは無理です。無理。
自分が、寄付もらう立場であったりするから、できるときはしたいと思うんだけど、自分の同窓会の名簿じゃいやだ。
でも寄付はしないけど名簿は買うことにした。私がここで生きてることを、つきとめた同級生の誰かの苦労に報いようかと、思ってしまった。
でもそれだって安くないので、電話切ったあとで、微妙に後悔したりしている。無駄遣いしたかなとか、かさばるだけなのにな、とか。

高校時代に愛着があるかないかって、それなりに愛着もあるし、痛点もあるけど、それは、誰かと分かちあおうとすると、かえって孤独になってしまうような何かだ。



それはそれとして、ぜんっぜん、関係ないんだけど、突然思い出したんだけど、
こないだ帰省したときに、高校の横の弁当屋の看板に、でっかく、

「初恋の味、カツ丼弁当  バイカル湖より深い味 唐揚げ弁当」

って書いてあって(→写真)、

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ああっ、宇和島だよっ、と思ってのけぞった。(それをどう説明すればいいかわかんないんだが)、
この言葉の選択に対して、うなずきたいか、首をふりたいかは、微妙なところだ。

高校(私の通った高校じゃなくて、その地方きっての進学校だけど)の横だし、高校生向けの弁当屋で、だから「初恋の味」なんだろうというのはわかるんだ。
だけど、なぜここで、「バイカル湖」なのかは、だれも説明できないだろうと思う。
いったいここの人たちにとってバイカル湖ってなんなのか、だいたいバイカル湖がどこにあるかも知らないだろうって、思うんだけども。なんだけど、でもここはやっぱり「バイカル湖」なのだろうと納得させられてしまうような、なにか救われなさが、この土地にはある。

その同じ救われない成分で、私もできているよと、思うんだけども。

どんな味だよ。バイカル湖より深い味って!!

それで、なんか笑いがとまんなかったって話なんだけども。
涙が出るほど笑ったんだけども。

買わなかったけどね。