似顔絵

部屋の散らかり具合が、もう限界。
本をどうにかしないといけないんだけど、どうしていいかわかんない。
新しげなのは捨てるにしのびないし、古いのは、長い旅を一緒にしてきてるのでやっぱり捨てるにしのびない。ゴミ捨て場に捨ててあったのを何度も往復してもって帰ったロシア文学全集とか。チェーホフよりも記憶に残るのは、息切れしながら本を抱えて歩いたあの夜道だなあ。

でもとにかく、どっかに隙間つくんないとどうにもならないので、見るのが恐ろしかった机の横と本棚のあいだの、積み上げた箱とその周辺の紙くずの山に、ついに手をつけた。
箱のなかも紙くずがいっぱい。出てくる、いろいろ。書きかけの原稿とか、あれこれのメモ、記録、ああもう、読み返す勇気はない、パソコンに保持したものはもちろん、そうでないのもばさばさ捨てる。手紙の束……は、またもとにもどす。古い新聞記事の切り抜き、なんでこんなものとっといたんだろう、というような意味不明なあれこれに混ざって、封筒のなかから、折り紙の切り絵とか子どもの落書きのようなものが。
先生、またいつかあおうね。って子どもの字で書いてあるお手紙。
思い出した。
もう11年前、東京で、学童保育でバイトしていて、そこをやめて広島に来るときに、最後の日に子どもらがくれたのでした。お手紙とか似顔絵とか。
紙が朽ちる前に写真だけとっとこ。
これ。私の似顔絵。 Img_4710_2


顔はともかく、服の着こなしのだらしないのが、恥ずかしいほどよく似てる。
ところがこの絵、誰がかいてくれたのか、もう思い出せない。かなり強烈な子どもたちだったから忘れるはずないと思っていたんだけど。で、あれこれ手こずらせてくれた強烈な子どもたちの印象は今も記憶にあるんですが、誰が、どの絵やお手紙をくれたのか、名前書いてくれてないもんね。
たぶんみんな、そろそろ二十歳だと思います。