Yくんの演奏

県境の町で義父母さんと一緒にお昼ごはん。

夕方、息子のピアノ仲間のYくんのコンクールがあるので、聞きにゆく。みんながクラシックを弾くなかで、Yくんひとりアニソンを弾く(彼はその曲しか弾きたくなかったのだ)。やっぱりY くんの演奏が一番いい。
自分もピアノ弾くくせに、他人の演奏をじっと聞くというのがことのほか苦手な息子も、Yくんのだけはくいいるように聴く。「鳥肌たった」と言っていた。そのあとは退屈に耐えられず、ロビーに出て行った。
Yくん自身は、思ったように弾けなくて、落ち込んでいたらしいのだが、Yくんの演奏のあとでは、ほかの子たちのは石を叩いているようにしか聞こえなかった。
音が、内面をくぐるかくぐらないかはこんなに違うものかと思ったな。Yくんは、この難しくて複雑な曲を弾くように、難しくて複雑な自分自身とつきあってきたんだなと、感慨深かったです。
ふたり、互いに、あいつには負けたくないけど、あいつにはかなわないと思ってるふうで、そういう友だちがいるというのは、いいな。中学は違ってしまうけど、何か一緒にやれるといいね。