桑の実 桑の葉

桑の実を食べたら、口のなかが紫色になるから、食べたことがすぐにばれた。
という話を、昔々、母から聞いたことはあった。母の実家は農家で、その昔は蚕も飼っていたらしかった。祖母(私が小さい頃に亡くなったので、この祖母の記憶はない)が家で飼っていた蚕から糸を紡いで、自分で織ったのだという風呂敷くらいの大きさの紫色の布が、昔、うちにあったが(たぶん、祖母の形見のように母がもっていたのだが)母が死んだあと、消えてしまった。父が引っ越しのときに捨てたのだろう、と思う。

母にとってなつかしく、私は見たこともない、だから、見てもそれとはわからない、桑の木だった。桑の実は、幻の世界の木の実のように思っていたが。

畑に、低い木があって、その横を通るときに邪魔なので、毎年枝を払っていたのだが、その木に、実がついているのを見つけた。オレンジの小さいのがふたつ。
え。これはもしかしたら桑の実なのか。もしかしたら桑の木なのか。

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そうして、同じ日、向かいの森の木を、何げなく見上げたら、いろんな色の実がたわたわなっている。桑の木、ここにあったのか。すみっこすぎて木が高すぎて、全然気づかなかった。
桑の実、色の黒い、甘くなったやつを摘んで帰る。森の住人は30年ほども前に亡くなっているし、誰も採る気配はないので、私が採ります。
向かいの森の桑の葉と、畑の桑の葉と、かたちがちがうのが気になって調べたら、若い木の葉っぱは割れているが、古い木は楕円形の葉になる、らしい。
葉っぱも摘む。

畑のいちごも、そろそろ季節は終わりで、今日は20個。
いちごケーキつくった。桑の実のせた。庭のバラも咲いたのでついでに飾った。ついでに食べた。

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桑の葉はお茶にした。癖がなくて、飲みやすい。
柿の葉とヨモギドクダミブレンドしたお茶も美味。

バラの花は、天ぷらがおいしい。つぼみの塩漬けもよい。