夏休みの色 夕焼け

12日から15日まで帰省。はじめてだ。父がいない故郷。

春に帰省したときは、予土線を追っかけていた息子。今回は予讃線を撮ると言っていた。しまなみ海道を渡って、海沿いの道を走る。途中で、親たちを車に残して、カメラと、時刻表とスマホと水など持って、山に登るとか。気温36度のなか。

3日間、いたるところで、私たちは待っていた。1時間とか2時間とか。
夕方、宇和島に着くと、そのまま、旧道の山のトンネルの前まで行くという。どこでどう調べるのか、農道のどの場所から、鉄道が撮れるとか、車から降りると、はじめての場所をすたすた歩いていくことだった。
ついていくと、蜜柑山と向こうの海の夕暮れ、なつかしい、とてもなつかしい、いい眺めだった。

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それから兄を誘って晩御飯は回転寿司。この時期、一年で一番人口が多くなる町で、回転寿司なんて、すごい混雑なのだが、コロナで都会からの帰省客は少ないのだろう、店はすいていた。

 

13日。朝ごはんを兄と一緒に食べたあと、パパと息子は、予讃線の追っかけへ。私と兄は、死んだ従姉の家に。家は結局、大家が取り壊すことに、荷物もそのついでに処分することになった、らしい。何十年ぶりに訪れた路地は、すっかり変わっていた。高校生の頃まで、自転車でよく遊びに来ていたのに、もう道も覚えてなかった。
昔、従姉が住んでいた長屋は取り壊されてもうない。従姉は、同じ路地の別の家に引っ越した。新しいアパートが立ち並ぶなかに、一軒だけ、極端に古い家が残っていた。
ひろみ姉ちゃん、半世紀ほど、同じ路地に暮らし続けたのだ。

家に入ると猫の匂い。家のなかには2匹の猫がいて、1匹はひろみ姉ちゃんが死んでからふさぎ込んだままらしかった。仏壇にお線香あげていると、近所のMさんというおばあさんがやってくる。親しかったらしい。その人と、近所の人たちが、病院のこと、火葬のこと、家の掃除、猫の世話、仏壇の供え物まで、あれこれあれこれしてくれたのだった。15年間家族のようにつきあってきたのらしい。そんな人がいてくれてよかった。ひろみ姉ちゃんも飾りのない人だったから。

昔、ひろみ姉ちゃんの長屋の隣に住んでいた女の子が、いまも近くに住んでいて、火葬のときに来てくれていたよと言う。名前を思い出せないけれど、その女の子を、私はもしかしたら知っている。ひろみ姉ちゃんのところには、麻痺で寝たきりのふじ子がいたので、ふじ子が喜ぶから、と(ひろみ姉ちゃんが言ってくれたかどうかわかんないが、そう思い込んで)、私や、近くの子どもたちは、いつでも勝手にあがりこんで、自由に時間を過ごしていたのだった。

父が、元気なころは毎月のように、訪れていたらしかった。Mさんも父のことを知っていて、冬に父のために毛糸の帽子を編んでくれたらしい。
中学を卒業したひろみ姉ちゃんは今治の造船所に就職して、大怪我をしたとか、そんなこともはじめて聞いた。結婚したい人はいたらしいんだけれど、一人娘なので、婿に入ってくれる人でなければと、母親に泣かれて、お見合いして、とか、そんなことも。
ひろみ姉ゃんの夫は父の仕事仲間で、ふたりを結婚させたのは私の両親だったらしい。兄がまだ高校生で、私が2歳くらいの頃。

それからお墓にゆく。Mさん、ついてきてくれる。ついてきてもらって正解。でなかったら、見つけるの大変だったわ。花が飾ってあったり、家族連れとすれ違ったり、お墓に明るい色彩がある。

 


夕方、釣りへ。叔父がもう釣りへ行かなくなった、と聞いていたので、どうしようかと思ったけど、声をかけてみたら、ええよ、といつものように準備してくれていた。
この日兄は、所持金が底をついていたし、私も余裕ないし、晩のおかずを釣らないとつらいのだったが、なかなか釣れなくて、不安になる。それでも、空が染まるころには、小あじ、小鯛、さば、それぞれ十数匹は釣れたのだった。上出来。

叔父が、とちゅうで、日陰で休むといなくなったので、糸がもつれると、自分でほどくしかない。数学の難問を5つくらい絡みあわせたような、めちゃめちゃぐちゃぐちゃに絡んだのを、ついに解いたのは、達成感あった。
最後に、さざなみたてている群れに向かって、叔父が釣り竿ふったら、餌もつけてないのに、さばが一度に3匹かかったのが、さすが。

魚をさばくのは、いつも叔父がものすごく手際よくしてくれるのが、今回、とてもしんどそうなので、私がやる。できないことはない。全部3枚におろして皮を剥いでっと。
また一緒に遊べるといい。今度は、あんまり暑くないときに。春とか、そういうときに。父とは、去年一緒に釣りをしたのが最後だった。

私がさばいてる間に、兄は、父の家で米を炊いて、父の家で、床の抜けそうなところを踏まないように気をつけながら、晩ご飯。お刺身、おいしい。


息子が撮ってた。釣りをする母とか。

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