旅の仲間 春の旅1


旅の仲間、ってタイトルの本があった。
本とは関係ないけど、旅の話。
これで何度目なんだか、春休みのはじまった3月24日から、息子と、始発駅から始発列車で、青春18きっぷの旅。
修学旅行に行かないかわりに、修学旅行の予算内で、4泊5日の旅をする、というわけ。

4年前の春に、熊本(人吉)、由布院、長崎、に行ったんだよね。あのときは地震のあとで、熊本城は壊れていた。阿蘇のあたり線路は不通だった(ので行かなかった)。3月も終わりだったのに、桜が遅くて、全然咲いていなかった。
今年は桜が早くて、線路沿いに満開の桜を見ながら、がたんごとん揺られていった。

鈍行列車の旅は、のんびりしているようで、わりと忙しい。乗り継ぎを考えないといけないし、乗り遅れると1時間待つみたいな話になるし、時間のすきまをみて、食料調達しないと、食べ損ねるし。息子はカメラもって列車追いかけて慌ただしいし、ぼんやりしてると捨てられそうだし。
「とにかく、ぼくを信じてくれたらいいので」というので、ついていく。

九州に入って、長崎に向かうどこかの踏切で、踏切の棒が折れたか何かしたらしく、ま、小さなトラブルがあって、在来線30分ほど遅れて、すると次のに間に合わず、長崎に着くころは日が暮れてしまうわね、ということで、一部区間、特急課金でスキップする。
家を出て12時間後の午後5時過ぎ、長崎に着くと、駅の様子が全然違っていた。新幹線が通るらしく、駅新しくて工事中。
宿に荷物置いて、夜景見に行くのに風頭公園まで市内バスに乗る。これがけっこう面白かった。街なかを通り、住宅街に入っていく。夕刻の街の空気感がバスのなかに漂ってくる。あちらこちら桜。公園は、桜満開で、人けもない。コンビニでお弁当買って、夕桜のお花見。こんなに桜満開で、こんなに人がいない。不思議な感じだった。
日が暮れるまでそこにいて、夜景見る。

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さてその高台にあるホテルには、息子の同級生たちが修学旅行で来ているのだった。海外修学旅行の予定が中止、国内に変更、日程変更、結局、長崎2泊3日に落ち着いたあたりで、30人ほどは行かない、ということになった修学旅行なんだけど。
ちょっとホテルに寄って、担任の先生にご挨拶。息子、旅のことは誰にも内緒にしていたらしく、先生驚いていたけど、でもあんまりは驚いてなかったかもな。
担任、今、みんなでレクリエーションしてるけど、来る?と誘ってくれたけど、息子、行かなかったけど。
でも先生に会って気が楽になったのか、夜中に宿で、チャットで、旅行組の人たちとおしゃべりしていた。その宿の近く、公園があって夜景と桜がきれいだよ、いやいや抜け出していけないよ、みたいな。明日、ハウステンボス来いよ、じゃあ帰る頃に入り口に会いに行くよ、みたいな。

バスで街に降りる。そこがどこともわからない停留所で降ろされて(息子はもちろんわかっている)すたすた歩く息子についてゆく。4年前、半日かけて、市内電車の全部の路線に乗る、というのにつきあったが、今度は乗らずに、撮る。息子、気に入った路地があって、遅くなるまでずっとそこにいた。昭和レトロな建物のならぶ路地で、向こうの教会あたりから、バロックな音楽が流れていた。(翌日になって、それは出島から流れていた音楽だとわかる)

夜の電車やバスの、光の箱が、どこかから来てどこかへゆくのを見ているのは、わりと飽きない。つきあって、道端にしゃがんで、ぼんやりしている時間が、私はけっこう楽しかったかも。夜食、長崎ちゃんぽんのカップ麺。

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翌日早朝、私がまだ寝ている間に(物音で起きたけどね)息子はひとりで出て行った。現川というところまで行って戻ってくるから、と言って。撮りたいがたんごとんがあったもんだ。いつもの時刻表だけでなく貨物の時刻表も買ってきていて、ダイヤグラムつくつていたからな。

 うつつがわ、っていい名前よね。うつつ、と言っているのに、まぼろし、と聞いてしまうのが、なんだか不思議だ。

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