父の古墳

息子、友人たちと四万十川に卒業旅行に行く、と出かけた。3月16日。1泊2日、松山、宇和島、高知をまわる旅。四万十川では、予土線の江川崎で降りて、次の列車がくるまで、男子4人、河原で、石積んで遊んでたらしい。ほかにすることもないね。

それなら、私たちも帰省しようか、父の三回忌のお彼岸だし。17日。息子のあとを追って帰省。入院していた兄も退院していて、叔父たちにも会った。ひとりの叔父は、ボランティアガイドに行ったり、元気だが、もうひとりは、糖尿で倒れて以来、釣りも行かない、ほぼほぼ、寝て過ごしている。みんな、あと10年くらいは生きていてほしいけど。

高知で、友人たちと別れて、宇和島に引き返してくる息子を迎えに行き、それから、横浜からはるばる、娘さん連れて旅に来たという友人と会う。魚が美味しいと言ってもらって、うれしいというか、その点だけは私はぜいたくな子ども時代だったと思う。

魚は、海から釣ってくるもの、叔父がバケツいっぱい運んでくるもので、買うものと思ってなかった。郷里を出てからは、スーパーで買っても味が違うので、食べる気をなくした。野菜も野菜の味がしなかったし、何を食べればいいかわかんなくなって、スーパーで立ち尽くしていた自分の姿を思い出した。

たぶんあのとき、何かが壊れたかもしれない。食への関心がもてなくなった。

翌日、友人の、父娘の旅に便乗して、宇和島城に。
久しぶりに天守閣のぼった。窓の柵を動かして、ここから外に出たんやなかったか、と昔々、城の修復に携わったときのことを言っていた父の姿を思い出した。

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それから予土線沿いに江川崎あたりまで。あいにくの雨だったけど。息子は、友人の重くて高いカメラを使わせてもらって、感動していた。ありがたく。
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四万十の下流に向かう友人父娘と別れて、途中の駅まで、兄に迎えに来てもらって、梼原の温泉まで行く。兄のもっていた回数券は2年以上前の。父が亡くなってからは来ていなかったらしい。生きてた頃に、連れてきてくれていたのだ。温泉、市内にあったのは閉鎖されたし、もうすこし近いところにあったのは、災害のときに土砂に埋まったらしいし、いろいろと諸行無常
梼原。はじめてのはずなのに、見たことある景色と思うのは、たぶん、何かのTV番組で見たのかもしれない。

公園のすべり台。半世紀以上たつ。3歳くらいの私が、このすべり台をつくっている父を見ていた遠い記憶。たぶん、父が仕事を独立して間もない頃に、市から請け負った仕事だったのだろう。なんか、古墳っぽいかも。墓よりも墓みたい。父の古墳だな。
ここに来ると、お父さんただいま、という気持ちになる。それから、さよなら。
近くで墓守?していた猫。

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