トラップ

凄い勢いで日にちが過ぎるので、書き忘れそう、いろいろと。

11月1日、覚えやすい日に生まれた子は19歳になった。その日に、大学の教授からレポートの不備で呼び出されて、行ったら、数字が1つ間違っていたらしい。その間違った数字が過去の実験の数値とたまたま一致したらしく、なんとそれで剽窃疑い。
いや剽窃はしてないけれど、数字の書き間違いもあってはいけないというのなら、点数がないと言われても仕方ないのかと、思ったらしいのだけれど、
(だって、これまでも数字間違いで、模擬テスト何十点失ってきたことか)

いや、ちょっと待てよ、それで、点数なくて単位とれなかったら留年するでしょ、留年したら奨学金止まるでしょ、奨学金止まると、詰む。
大学やめるか、数百万の借金背負って続けるかの選択を迫られるよ?
みたいなことで、ちょっと、わが家的には騒ぎでしたけど。
でも、その呼び出し、三分の一以上の学生が呼び出されたみたいな話で、この攻防はなんなんでしょうね。

数字一つのトラップ。実験の数値を去年と微妙に変えるとか、教授がわざわざ仕掛けてるトラップを、わざわざ踏む学生もいたようで。
笑い話みたいだけど。

唐突に思い出した。昔、子どもが幼稚園だったとき、絶対歌わない、踊らない子で、でも幼稚園、歌ったり踊ったりの毎日なわけで、ある日、隣の席の子に言われた。「あした、うたわなかったら、ぶっころす」。子ども、帰ってきて「あしたぶっころされたら、あさってからようちえんいけない」と涙目だったわけですが。
大丈夫、ぶっ殺されたりしないから、怖くないから、って言った気がするけど。

大丈夫、留年しない、かどうか、知らないけど。
もちろん。お金があれば留年なんかこわくない。ないから、こわい。

思いがけないところに、トラップがあって、それをまたひとつずつ踏んでゆくみたいなことを、親たちもしてきてるわけですが。


トラップ。たとえば家にいるときは、親が起こしてくれるので、自分がひとりで朝起きられない、ということには気づかずにいられるわけだけど、ひとりで暮らしだしてまず気づくのはそこらへんだと思うよね。
朝1限目から講義のある日は、スマホにモーニングコールするんだけれども、本人も目覚ましかけるんだけれど、起きないときって起きないよね。スマホも、百円ショップの目覚ましも、音、小さい。2時間電話鳴らし続けて、ようやく起きた、みたいなことが何度かあり、遅刻できない実験とかどうすんの、みたいな。こちらのイライラも限界。

そこで考えた。

固定電話をつけよう。私の父が亡くなったときに、息子が欲しがった遺品が、昔ながらのダイヤル式の緑の電話だった。かれこれ半世紀使っていたのではないだろうか。でも父はもっぱら受けるばかりだったらしく、ダイヤルの数字のところに、埃がいっぱいたまってたが。
その電話を、息子の部屋につけてやるべく、持っていった。

なんか、すごい。最強の目覚まし。
この電話、昔、私が高校生のころ、サラ金の取り立ての電話が、毎晩毎晩鳴って、発狂しそうになった電話なのだが、あの頃は、コード抜くとかもできなくて、きつかったよね。私をほんとに電話嫌いにした、あのいまいましいジリリーンジリリーンが、今、息子を起こす、最強の目覚まし。
電話、成仏するかも。じいちゃんの電話、孫の役に立ってるで。

それでさ。あのかたくなに歌わなかった子が、中高の合唱祭も歌いたくなくて、ピアノ伴奏の席を女子と争った子が、いまサークルは合唱部らしい。伴奏もするけど、歌も歌うらしい。歌うらしい。ちょっと信じらんないな。

いいんじゃないかな。