11月の旅 ディーゼル音とみかん畑と太平洋 

旅をするよ、と息子が言った。11月に。四国JRのバースデー切符で。

誕生月なら1万円ほどで3日間、特急も乗り放題という切符が今年度いっぱい。同行者も同じ切符を使えるというので、私も一緒に行くことにする。22日午後、松山で会いましょう。

はじめてのバイト料を注ぎ込んで、中古のカメラを買って、21日の夕方に鹿児島を出た息子は、その晩は宮崎のネットカフェに泊まって、翌日、臼杵から船で八幡浜に渡るはず、が、延岡で列車不通、の事態に。線路の補修工事とかで、6時間列車が動かない。
駅に張り紙あったらしいけど、そんなの鹿児島から来て知らんわなあ。
待つしかない。

それで私も、松山まで船で渡るの急がない、午後のんびりゆきまして(船代値上がりしてて、往復割引きもなくなっていた)学生のころから何百回渡ったかしら、瀬戸内海。

 

松山市内の電車は、音がきつい。窓から、お堀の紅葉がきれいだったけど。電車のなかにも俳句投稿箱。それから道後近くの安宿にたどり着きまして。全国旅行支援とか関わりないほどの安値の宿、畳すりきれてて、廊下みしみし鳴って、まあ、眠れればいいんです。

 

息子、到着が夜の11時過ぎるっていう。私は温泉行って、ごはん食べて、明日もしかしたら宇和島で会えるかもしれないからと思って兄に電話したら、兄が、じゃあ今から八幡浜の港に迎えに行って、松山まで連れて行ってやるよ、と言ってくれて、
息子、雨のなかワープしてやってきて、受付終了時間10分前に、無事、道後温泉つかりましたね。
ありがたかったのですが、兄が、雨の夜に中古の軽ワゴンでスピード出して走るのが(あの人はスピード出すんだわ)、なかなかスリリングだったらしく。

 

翌朝、予讃線宇和島へ。窓から、みかん畑にみかんが灯っているの見えて、こういう季節に帰ってくることあんまりないから、なんかうれしかった。
ココニイタカッタナ、って思う。ズットココニイラレタラヨカッタナ。
ちょうど母の命日。駅に兄が来てくれていて、一緒にごはん食べる。ついでに中村まで送ってってくれるというので、車乗りましたら、速いんだけど、なんとなく変な音がしていた。
中村で別れて、私たちは土佐くろしお鉄道で高知へ。雨模様で、荒れた太平洋がときどき見えるのが、とてもいい。

 

高知で、市電に乗りたい息子、さっそく1日乗車券買おうとしたら、その日は休日で、どこまで乗っても100円っていう。乗車券買わなくていい。宿に荷物置いて、端から端まで乗るっていう。まず西の端まで向かう。朝倉で乗り換え。そのころに夕雲、それから日暮れ、真っ暗。

市内にもどって、ひろめ市場で、カツオの叩き定食食べたのが、藁焼きの藁の匂いして、しあわせだった。ショウガが安かったので、お土産に買って、私は満足して宿に戻ったけど、息子はそのあとも電車に乗りに行って、今度は東の端まで行ったらしい。真夜中もどってきたら、着の身着のまま、風呂も入らずに寝て、早朝、私がまだ寝ている間に出ていっていた。