星ヶ丘ゆき

kazumiの日常雑記

見てきたもの

台風一過。息子を誘って美術館に行った。
機嫌よくついてきた息子だが、目当ては美術館ではなくて、駅と電車だった。
古い小さなカメラで、通過する電車を撮っていた。

久しぶりの県立美術館。レオナルド・ダ。ヴィンチと「アンギアーリの戦い」展をやっていた。
面白かった。レオナルドの未完の絵が、未完ながら、他者によってさまざまに生まれなおしていく、という感じ。無名の画家による模写とか、楽しかった。

サヴォナローラの処刑の絵があった。チェーザレ・ボルジアの肖像とかも。高校生の頃、この時代のフィレンツェの物語をどきどきしながら読んだことを思い出した。高校一年の夏休みは、辻邦生『春の戴冠』を読みふけって過ごした。
アルノ川の桜草の話。咲いては枯れてゆく桜草の向こうに、私たちは永遠不滅の桜草を見ている。そんな話を、ロレンツォ・メディチとサンドロ・ボッティチェリがしていたと思う。
永遠、という言葉に、感染した。15歳の夏。

常設展で、ルネ・マルグリットの「人間嫌い」という絵を見ると、また見てしまったよ、という、なつかしいような、いやなような、会いたくない同級生に会ったみたいな、でも会えてほっとしたみたいな、へんな気持ちになる。
靉光や小林千古、山路商、松本竣介の絵のあたりが好きで、そのあたりでぼんやり過ごしていたら、ぼくはもう最後まで見たから、図書室に行ってる、と言って息子は行ってしまった。
池田快造の「運河」という絵は、見ていると、その橋の上に、私もまた母たちと立っていたような感じがした。この絵はすごく好き。
文化遺産データベースで検索。http://bunka.nii.ac.jp/db/heritages/detail/266486

インド更紗の展示もしていて、見ているうちに、ふと思い出した。1994年、はじめてフィリピンに行ったときに、ルソン島北部のバギオ、ボントック、バナウェを旅したんだけど、バナウェだったかな、の宿で出会った、西洋人(だったと思う)の男性が話していた。彼は、古物商のようなことをしているようだった。そのあたりの古い品物、トカゲのデザインの彫り物などを伝統的に用いているような土地だったけど、そういうものを、現地の協力者に謝礼を払って集めてもらっている、と言っていた。
そのときに、インドネシアの島々で、古いインド更紗を見つけたときの話もしてくれた。村の集まりで無造作に使われていたのが、本当に珍しいデザインのインド更紗だったとか。東インド会社がヨーロッパ向けにたくさん作らせたものとは違う、希少なものだったらしい。

でも話してくれたのは、どんな人だったかな。西洋人だったと思うけど、日本語で聞いた気がする。そういえば日本に住んでいたことがあると言っていたっけかな。記憶があやふや。

そのときは想像が追いつかないような話だったし、すっかり忘れていた記憶だけど、その話に関係があるかなと思って見ていたら、1980年代に、インドネシアの島々でたくさん発見されたとあるから、発見した人々のひとりに、あの夜、私は出会っていたわけだ。

インド更紗。すてきだった。
http://bunka.nii.ac.jp/db/heritages/detail/201577

図書室で、息子は電車の撮り方、というような本を見ていた。私は久しぶりに「フリーダ・カーロ」の画集を見た。久しぶりに会えてうれしい。アンドレ・ブルトンは、フリーダの絵を「爆弾のまわりに巻かれたリボン」と言ったらしい。Cimg9049




それから電車に乗って、旧日本銀行へ。「広島・キューバ展」をやっていた。入場無料の小さな展示。チェ・ゲバラが広島に来たときの写真と、家族に送った葉書。広島からの移民の話など。

それから広島駅にもどって、あちこち電車を眺めに行った息子をぼんやりすわって待っていた。可部駅にもどったら、夕焼け、駅のホームのポスターが、変わっていた。

カープ優勝したんだね。


いい一日でした。

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