2005-12-01から1ヶ月間の記事一覧

おおみそか

子どもが風邪ぎみなので、正月は帰省しないというと、昨日の朝、隣県に住む義父母が、あれこれの食材と子どものお年玉をわざわざ持ってきてくれた。感謝。 夕方、長崎からO君が遊びに来る。青春18切符で旅をしようと思いついたらしく。 彼とはじめて会っ…

もういくつねると

お正月が近づいてくると、にわかに百人一首の復習をはじめたものだった。母がいた頃はそうだった。 中学1年の冬にはじめて、母から百人一首を教えてもらった。お正月の遊びに。母はめっぽう強かった。伯父さんたちはもっと強いよ、と言った。母の実家では百…

芙蓉鎮

いままでに観た映画のなかでベスト3を選ぶとしたら、必ず選ぶ。 『芙蓉鎮』 監督は謝晋。80年代のおわり頃に観た。 中国の文化大革命の話。女主人公の玉音は、夫とともに米豆腐屋を営んでいたが、夫は殺され、財産は没収され、玉音は五悪分子の烙印を押さ…

カクメイ

ユウトが6年生の一時期、トランプの大貧民のゲームに夢中になり、児童館で会う度、つきあわされた。彼の手の内はなんとなくわかる。もうすぐにあがれると確信しているユウトに、「カクメイ」と4枚揃いの札を出したとき、私は痛快、あがれずに、結局大貧民…

白熊の子ども

児童館の代替職員を何年かしていたことがあって、子どもと遊ぶのが仕事だったが、まあ、いろんな子がいた。今も何かの拍子に思い出す。 4年生のユウトがあるとき、図書室で1年生の女の子ふたりを相手に動物図鑑をめくりながら、「おれ、これ飼ってる。これ…

冬銀河

昨日はクリスマス。夕方、夫はケーキと雪かきスコップを買ってくるといって家を出たが、2時間後、手ぶらで帰ってきた。ケーキもないし、雪かきスコップもない。この雪で、スコップはどこも売り切れなのらしい。 食事のあと、もう一度ケーキを探してくる、と…

姥捨て

雨は夜明け前にまた雪に変わったようで、昨日もうっすらと雪景色。 雪だるまは、雨でくずれたうえに雪をかぶって、なんとも奇怪な雪の塊と化している。それが4体ならんでいるのは、なんというか、姥捨ての野に捨てられた老人たちが身を寄せあっている姿に見…

冬の雨

昨日の午後、雪かき。雪だるまひとつつくる。前日の雪だるまも掘り出して、全部で4つならんだ。 夜になって雪から雨にかわる。雨の音なのか、雪が溶けて落ちる音なのか、ぽたぽたぽたぽた音がしている。 私は夜更かししている。フィリピンの、関わっている…

アルミニウムを流したような

昨日の午後、雪かきする。途中で飽きて、雪だるま3つつくった。 夜、体じゅう痛かった。雪国の過疎の土地では、さぞかし大変だろうと思った。 今朝起きたらまた積もっている。雪だるまも雪に埋められている。 ショーロホフの『静かなドン』を読んだのは中学…

ことばの杖

昨日の午前は、保健センターの親子教室に行ってきた。保健士さんが誘ってくれたので行ってみると、名札まで用意してくれていた。4組の親子に、5人の職員。2歳頃の子どもは全員男の子で、どうも言葉が遅い子が誘われたようである。親子や友だちとのコミュ…

知るということ

昔、叔父が、焼却場のあたりで拾った、といって、一冊の地図帳をくれた。少し焼け焦げているそれは、昭和4年頃の小学校で使われていた地図で、持ち主だったらしい女の子の名前が書いてあった。地図は、朝鮮半島も台湾も樺太も赤く塗られていて、日本の領土…

銀に明るい雪の夜

探し物をしていたらふるいノートの束がでてきた。中学の終わり頃から大学の頃までの、読んだ本の抜き書き張。思いついたときしか書いてないから、そんなにたくさんはないのだが、読み返してみると、ふるえるほどなつかしいものもあれば、もう全然、記憶にな…

雪だるま

生まれたのは豪雪の冬だったから、四国の西のほうでも、たっぷり雪は降った。病院から戻った母と生まれて7日目の私を迎えたのは、父がつくった大きな雪だるまだ。雪だるまの前で母と写った写真は、ピントがぼけているが、父の雪だるまは、なんというか奇妙…

いーよー

小さい子どものなかの正義の感覚というのは、すごいものがあるかもしれない。 ときどき私は、2歳の子どもに顔を叩かれるけれど、昨日も叩かれたけれど、ほとんどいつも子どもが正しい。論理的に、ではなく、生命的に、正しい。 小さい子といるのは、言葉で…

百年を経たあとは

雪。積もっている。粉雪が舞っている。音のしない昼下がり。 百年を経たあとは だれもこの場所を知らない そこに演じられた苦悶も 平和のように静か、 エミリ・ディキンスン(安藤一郎訳) そしていつか、死も忘れられる。暮らしも、人生も、無数の出来事も、…

不幸について

「あの子を消さなければ、自分はこの苦しみから解放されない」というようなことを、塾の生徒である12歳の少女を殺した男は言ったらしい。まるで男女の愛憎の果てにあるような、それにしても陳腐な言葉と、異常な殺意との取り合わせだ。 悪いのはもちろん、…

時代の共犯者

強度偽装の証人喚問。昨日のテレビで少しの間だけど、見ていて、唐突だけれど、もしかしたら、ナチスの高官たちも、こんなふうな人たちだったかしら、と思った。 『記憶 ホロコーストの真実を求めて』(ラウル・ヒルバーグ著、徳留絹枝訳 柏書房)を読んだとき…

雪景色

一日じゅう雪。空も曇っているが、それでも昼間の空は白く発光していて、すこしまぶしかった。外は一面真っ白。とてもしずかな一日。それにしても寒い。 子どもは赤ちゃんの頃から靴下がきらい。はかせてもはかせてもすぐに脱ぐ。台所の床を歩くときは、さす…

寒そうな月

雪。昨日の午後からずっと降っている。子どもがおもちゃ箱の上に爪先立ちをして、窓にしがみついて雪が降るのを見ていた。 積もってしまうと外に出るのが大変なので、夕方、ぎりぎりで郵便局へ行く。それから買い物をすますと、もう外は薄暗い。雪が降りつづ…

紐育空爆之図

歌誌『Es』10号が届いたので読んでいる。加藤さんありがとうございます。 歌集歌誌を読むことは、もう何年もなかった。その類の本は、探すのも買うのも読むのも、なんだか手間がかかって、たぶん、ひっかかるところにしかひっかからない類のものでもある…

ツワブキの花

家の裏の通路の隅に植わっているツワブキの花が咲いていた。 茎を真っ直ぐにのばしてその先にあざやかな黄色い花を咲かせている。子どもの頃、春になると山にツワブキを採りにいったものなのに、どんな花が咲くのか知らずにいた。花は冬咲くのだ。 何年前か…

玩具のくるま

インフルエンザの二回目。待合室で、子どもは、鳩時計の鳩が鳴くのを待っていて、ぴぽぴぽぴぽ、と自分も一緒に鳴いていた。 夜、おじいちゃんが来ているので外にご飯を食べに行く。注射では泣かない子が、車のチャイルドシートがいやだと泣く。あきれるほど…

数字の数え方

近くのホームセンターに行くと、店に入る前から子どもは、「チクチクボン、チクチクボン」という。時計売り場でたくさんの時計を眺めるのが好きなのである。そして文字盤の数字を見て「5、8」という。今のところ彼にとって、すべての数字は5、8 (ときど…

ヒロシマというとき

先日読んだ本、『原爆碑を洗う中学生』(小林文男著 草の根出版会)に書かれてあったのだが、著者が1976年に、シンガポールで経験したという出来事は、ショッキングな内容だ。 著者が映画館で居眠りをしていたところ、観客席の万雷の拍手で起こされた。全…

ナイトメアの物語

毎週金曜日に更新されている毎日新聞ニュースの「こころの世紀 女という名の病」を興味深く読んでいる。執筆は心理学者・小倉千加子。 http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/kokoro/onna/ ナイトメアと名付けられた女性の、一言で言えば生き難さの物語。 …

そこにはだれもいないのに

昨日の朝、起きたら15センチほど積もっていた。あたりは一面の雪景色。向かいの森の大きなモミの木も雪をかぶってクリスマスツリーに変わっていた。庭に積もった雪の上に真紅のもみじが散っていた。紅葉の山々には、粉砂糖をまぶしたように雪がふりつもっ…

初雪

初雪。夜になって雪にかわった。うっすらと積もっている。 雪は降る! 雪は降る! 見よかし、天の祭なり! 堀口大学「雪」 雪のあんまり降らない地方で育ったので、たまに雪が降ると、お祭りのようだった。 雪がいくらか積もったりすると、学校に行っても授…

かんしゃく玉

子どもが、いきなり、はじかれたみたいに、持っているものを投げたり、親の顔を叩きにきたり、奇声を発したりして、かんしゃく玉を破裂させるとき、そのときの気持ちというか、心の状態というのは、よくわかる気がして、なんだか笑いたくなってしまったりす…

冬がきた

「犯罪人のうちにあって感じられていないもの、それは犯罪である。無辜の人のうちにあって感じられていないもの、それは自分が無実であるということである。」 シモーヌ・ヴェイユ著作集Ⅲ(春秋社) 冬がきた。子どもにインフルエンザの予防接種を受けさせに行…

ヴェールの向こう

容疑者が自供した。「悪魔が入っていた」と言ったらしい。 一冊の本のことを思い出した。1958年に起こった小松川事件(女子高生殺害事件)の犯人の18歳の在日韓国人二世の少年の獄中書簡をまとめたもの。『李珍宇全書簡集』(朴寿南編 新人物往来社) 「私…