2019-01-01から1年間の記事一覧

どこか、安心できる場所で

今読んでいる本のタイトル。「どこか、安心できる場所で」(新しいイタリアの文学)という短編アンソロジー。子ども、底辺労働者、移民たちのささやかな物語たち。なんといっても本のタイトルがいい。ちょっと泣きたくなるタイトルだ。朝、弟から電話。いき…

合唱祭と冬休みと紅まどんな

冬休み前の最後の行事が、合唱祭だった。息子たちの学校、4年生(高1)までしかしないので、今年が最後の合唱祭。彼は今年も、ピアノ伴奏という彼的に快適ポジションを得た。男子の声の揃わないのとか、女子にまじめにやってと叱られるとか、そういうごたご…

一隅を照らす

数日前。息子は恒例の、小テスト0点に課されるペナルティ作文をもってかえった。真夜中、もう寝てくださいという時間に書き始める。1枚でいいのを2枚もらってきて、表裏ぎっしり書くつもり。シャーペンの芯を太く濃くした分だけは読みやすいかもだが、相変…

真っ赤な秋

朝、外に出ると風景が赤い。向かいの森が真っ赤だ。 森の奥にいる考える人。12月。私がどんなに怠けても、季節は怠けずに過ぎていく。過酷なことだ。11月の終わり。ひさしぶりに映画を見に行った。「ゴッホ、永遠の門」。よかった。ときどき視野がゆらぐのが…

恒例の

急に寒くなって。朝、外に出ると、庭のもみじと向かいの森の紅葉が、きれいだ。 日曜日は、この時期恒例の国際フェスタのバザー。息子が風邪をひいて、手伝ってもらえなかった。手伝ってもらっても荷物運びだけして、あとはどっか行っちゃうんだけど、ひとり…

小さいおうち

「小さいおうち」(中島京子)を読んでいた。昭和の、戦前の話のなかで、昭和15年にはオリンピックが開かれるはずで、その話題とか、紀元2600年の奉祝曲の話とか、読んでいて、ふと現実のニュースを見ると、こちらはこちらで令和の奉祝曲の話で、どちらもが…

こんなに急いでいいのだろうか

2日遅れで誕生日のケーキ。炊飯器がつくってくれたのに、息子が自分でかざりつける。春と夏、畑のイチゴとブルーベリーを冷凍しといたやつ。ろうそくは省略。 それから夜遅くになって、前日の模擬テストの解きなおしの宿題やら何やら、やっていたが、もうい…

11月1日

そういえば10月最後の日、上野動物園のモノレールが運行を終えた。老朽化のため、という。この3月、息子と東京に行ったときに乗った。ここには世界でたったひとつのタイプのモノレールが走っている、と息子が教えてくれるまで、モノレールがあることも知ら…

詩を書く少年

数日前の夕空。私が高校生の頃に使っていた現代文の参考書を、息子が読んでいて、問題文の三島由紀夫の「詩を書く少年」が面白かったという。そうでしょうそうでしょう。「仮面の告白」を面白いと読んでいた子なので、そのあたりははまるだろうと思った。短…

待つ

中国の女の子が、太宰治を朗読しているのを、テレビで見かけた。「省線のその小さい駅に、私は毎日、人をお迎えにまいります。誰とも、わからぬ人を迎えに」続きが気になって探す。 青空文庫にあった。ごく短い。 太宰治 待つ こういうのを書いてくれる太宰…

泥色の

このあたり、あの巨大台風の強風域の、ほんのはしっこがかすったぐらいだった。かすったぐらいだったが、風は台風の風だった。ちぎれた木の葉の匂いがした。 ニュースで見るあの泥水のなかのどこかに、12歳の私と弟がいるような気がした。泥水のなかを転びな…

コスモス

ほったらかしの畑のコスモスが花盛り。 ようやく涼しくなったので、草ひき。こないだなんとかニンニクだけは植えたのが、少し芽が出てきた。いちごは、雑草のすきまにかろうじて、生きのびたものは生きのびている。半分くらいは滅んだ。来週末の大掃除までに…

ニューロ・ダイバーシティ

朝、外に出たら、金木犀の香りがする。10月。雨が来る前に、花を摘んだ。半分砂糖漬け、半分焼酎+氷砂糖漬けにしてみる。息子の弁当にも飾ってみたが、花小さすぎて、気づかなかったらしい。 私の、中学のころの通学路の(ほんとは通ってはいけない近道)…

居場所

町会費の集金が来て、また1か月が過ぎたことを知らされる。いろいろ焦るけど。 先週、パアラランへの送金ができて、ちょっと一息。あるだけ送って、もうこちらには何にもないので、このあとは運を天にまかすしかなく、考えようによっては泣きそうな気持だが…

台風……

千葉の台風被害のニュースで、雨漏りの映像見たとき、体がざわざわざわっとふるえた。思い出したのだ。 私が中1の夏だった。台風の直撃で、被害にあった。あのときの台風の最大風速が50メートルだったのをおぼえてる。あの朝、「ねえちゃん、雨漏り」とい…

100万人のフーガ

ところで、体育祭の打ち上げで、クラスで焼き肉に行く話を、息子は誰からも知らされなかった。行かない人たちも数人はいた。でも、話そのものを知らされなかったのは、息子だけだったらしい。打ち上げの話はまず、クラスのグルーブラインではじまった。息子…

体育祭

運動会が嫌いだった。行進も集団演技も、応援合戦も、叱られながらする練習も、ほんとに嫌いだった。運動会の応援合戦に、3年生がへんに熱中する高校にいて、練習に来ないとか、来たときの態度が悪いとかで呼び出されていた1,2年の頃の秋のしんどさ。あ…

荒地

夏の間に、畑はすっかりもとの荒地にもどっている。夏休み中、留守ばかりしているからしょうがないのだが、背丈ほどの草がいちめんに茂って、とほうもない。毎日すこしずつ草引きすることにしたが、腰痛が不安で、すぐにやめる。暑いし。鹿子の来た気配もあ…

どくだみ酒

夏休みが終わって、息子が学校で模擬試験など受けている頃、私は東京。遊んでくださったみなさま、ありがとう。友だちがいてくれてうれしいです。数えてみたら18年ぶり、だったり。思い出は、たった昨日のことのようだったり、はるかな、いっそ他人の過去…

ユートピア

翌日は、早朝から息子とパパが、旅に出た。私は寝る。雨が降っていて、予土線新幹線は、線路がすべるので、砂を撒きながら走るのが、ガガガゴゴゴとすごい音がして、アミューズメントパークのようだった、そうである。バスは田舎の道をすごい勢いでがたがた…

かっぱうようよ号

3日間乗り放題の周遊券は2枚買った。息子は滞在の2日間とも乗る。同じルートを時間を変えて乗るという。2日間もつきあえるか、と思うので、1日目は私が、2日目はパパが同行することにした。駅前の商店がごっそり取り壊されている。シャッターが閉まったまま…

帰省 トーフ型住宅

17日。しまなみ海道を通って四国に渡る。来島海峡。 宇和島に帰省するのに、いまは高速道路があるのだが、都合で旧道を通る。昔はこの道しかなかった。くねくね曲がって、登ったり降りたり、森は深くて暗い、私の郷里はこんなに遠いのかと思い知る。吐きそう…

帰省 夏の長門峡

帰国の翌々日は、山口に帰省。おばあちゃんが尻もちをついて腰の骨が折れたとかで、そんな時期に帰省しても大丈夫なのかと思ったけど、コルセットして痛みはないそうなので、帰省する。夏休み、まだ高校1年だし、大学のオープンキャンパスに行くことなどは…

パアララン 5

8月5日月曜日。台風のため、クラスは休み。とはいえ、台風は遠くて、このあたりは普通に雨が降っているだけなのだが、政府が休みと決めたら休みなのだった。クラスがないなら、マットレスを片付ける必要もないので、息子、起きるつもりがない。こんこんと眠…

パアララン 4

深夜まで、表で男たちの話し声がうるさい。そういえば、私の叔父のひとりが、声の大きな人だよなあと、思い出したりする。この異国の路地にも、私の叔父のような男たちが、大きな声をあげながら、肉体労働しながら生きているわけだ。日曜早朝、また男たちの…

パアララン 3

8月3日。深夜まで通りは人の声でにぎやかだ。人の声の鎮まった未明から早朝に豪雨。夜、激しい雨の音を聞くのは、疲れる。私の右側では、息子が軽い寝息をたて、私の左側では、犬のウィスキーが、寝息をたてている。ぐーすー。やがて、雨にも負けず、鶏の鳴…

パアララン 2

8月2日。未明、豪雨。雨の音で目が覚める。横に、何か気配があるなと思ったら、グレースの犬のウィスキーが寝ていた。雨季なのだ。気候変動はグローバルに起きていて、フィリピンの気候も昔とは変わってきたとレティ先生は言ったが、雨季は雨季なのだ。とき…

パアララン 1

7月31日、息子とふたり福岡空港からフライト。午後6時半頃、マニラ着。日本よりずっと涼しく、でも空気は湿気を含んで重い。空港の外で風に吹かれて待っていたら、グレースが迎えに来てくれた。グラブタクシーで、帰るという。スマホで登録しとくと使えるら…

夏休み!

夏休みになって、はや1週間。午前4時50分になると、向かいの森のセミがいっせいに鳴きだし、鳥が鳴き、夕暮れになると蛙も鳴く。にぎやかだ。ムカデを2匹、ゴキブリを5匹ほど見つけて殺した。畑のブルーベリーが食べきれないほど採れる。 三者懇に行くと、…

数字化け

高校生になって、すでに2度目の模擬テストがあった。 自己採点を終えて、帰ってきた息子が言った。「ぼくは確信した。ぼくは数学がわからないんじゃない。数字が苦手なんだ」つまり。1度目の模試では、数字の6が途中で9に変わってしまった(9が6に、だ…