一隅を照らす

数日前。息子は恒例の、小テスト0点に課されるペナルティ作文をもってかえった。真夜中、もう寝てくださいという時間に書き始める。1枚でいいのを2枚もらってきて、表裏ぎっしり書くつもり。シャーペンの芯を太く濃くした分だけは読みやすいかもだが、相変わらず小さな字で私は読めない。

小六夏の青春18きっぷの旅の話の続き。大阪を出て、京都経由福知山経由、乗り間違えて上川口駅下車、反対方向のに乗り換えて戻るはずが、階段上っておりてが間に合わなくて、次の電車まで2時間待ち、なんにもない山の中の無人駅で。暑いなか。
という日の話を書いていた。よく覚えてるもんだと思う。
その無人駅に、花のみずやりにやってきたのは、もと国鉄職員の名誉駅長さん(当時79歳)。近所に住んでるおじいさん。で、その名誉駅長さんと2時間楽しく過ごせて助かったという話なのだが。

息子、旅のあと、何度か名誉駅長さんと文通したのでした。旅の記録を書いた夏休みのレポートを送ったり、翌年にはその旅の話で作文の賞もらって、それを送ったら、国鉄OBの会報のなかでほのぼのした話題になったらしい、駅長さんが地元の小学校でお話したときの話題にもなったらしい。というようなことがあったのだが、息子、名誉駅長さんの手紙を何年ぶりにひっぱりだしてきて、読み始めた。何度か長文の激励の手紙をもらっていたのだった。
「おお」
というから何かと思ったら、
「駅長さん、座右の銘が、中村先生と一緒だ」と言う。

どの中村先生?
「一隅を照らす」
先日、アフガニスタンで殺害された、中村哲先生ですね。

駅長さんの手紙には、きれいに掃除され、壁飾りやざぶとんもある小さな待合室の写真添えられていた。なつかしいね。

「また手紙書こうかな」
いいと思うけど大きな字でね。

深夜二時過ぎ。作文中断させて寝てもらったが、翌朝、どんなに目覚まし鳴っても起きなかった。
作文のつづきは学校で書いて、天橋立経由城崎温泉までたどりついたらしい。
旅はまだ終わらないんだけど、次の0点を心待ちにされてもなあ。

私、結局読ませてもらってないし。つまらんし。

で、息子、今日は早朝から、ラストランの電車があるとかで、先輩と待ち合わせて、尾道まで行って、尾道ラーメン食べて帰ってきたらしい。この冬、青春18きっぷの1枚目。

楽しそうだよ。