2006-10-01から1ヶ月間の記事一覧

呪文

ハローウィンなどというものを知ったのは、海外の小説を読みはじめた10代の頃だが、目や鼻や口のかたちをくりぬいたかぼちゃの絵とともに、それがすこし実体をもって感じられるようになったのは、ごく最近のような気がする。どんな実体か、というと、おも…

一人はあかりを

眠るときに、部屋のあかりを消すのは子どもの係りだ。消したからといって寝てくれるとは限らないし、消して真っ暗になると「まっくろくろろすけ!」とはしゃいでうるさかったりもするのだが。ともあれ電気を消すのは自分、と決めていて、ついうっかり私たち…

学ぼうぜ!

昨日の午後、近所の家に遊びに行った。私はさやちゃん(小2の女の子)のママに用事があったのだが、子どもも「さやちゃんち、いくねー」とリュックに絵本と車を入れて歩いた。 さやちゃんちの近くに行くと、顔見知りの男の子たちがいて、「おーい、ちび」と呼…

『被差別部落の青春』

そんなものがあることはすっかり忘れていた。父がそこに住んでいるにもかかわらず。部落。働かないのに給料を受け取っていた奈良の市職員が、解放同盟の幹部だったとか、 「部落地名総鑑」と題した全国の地名一覧が「2ちゃんねる」の掲示板に掲載され、削除…

もうすぐ3歳

親たちは携帯をもっていないが、子どもは玩具の携帯をもっていて、「あ、あたし、さつき」としゃべっているのは、トトロの電話の場面をしているのだが、本物の電話が鳴ると、電話に出たがってうるさい。電話に出ても何を話せばいいのかはわからないらしく、…

秋の森

日に日に秋も深まっていて、向かいの森も紅葉をはじめている。2階の窓から眺めていたら、子どもがモミの木を指して「くすのき」と言う。トトロのせいで木といえば「くすのき」だと思っているのだ。あれはモミの木、そのうしろにあるのがくすのき、そのうし…

餓死

「私達の最後が餓死であらうといふ予言は」という詩のフレーズが思い出されたのは、3歳の男の子が餓死させられたというニュースのせいだ。餓死という言葉に血の気が引く。ちょうどいま読んでいるのが『強制収容所グーゼンの日記──ホロコーストから生還した…

「旅の重さ」

テレビで吉田拓郎とかぐや姫のつま恋コンサートの特集をやっていて、子どもを寝かせるのもそっちのけに、見てしまった。吉田拓郎もかぐや姫も中島みゆきも、中学から大学にかけての時期、ギターを弾くような友人たちが歌っていたから聞き覚えはあるのだ。あ…

地球儀

地図を見ると、「てんきよほう」と子どもは言う。日本地図は確信をもって「てんきよほう」と言い、世界地図はたぶんほかに呼び方を知らないから「てんきよほう」と言う。テレビの天気予報を見ている子どもを見ていて、ずっと昔の祖父母の家を思い出した。祖…

遠景

私の小さなスケッチブックがどこにしまってあるかを、子どもはよく知っていて、印刷に失敗したコピー用紙の裏側なんかには見向きもせず、「おえかきするねー」と、スケッチブックと水彩色鉛筆をもってきて机に広げたあと、「はい、ママさん」と色鉛筆を私に…

ごめんなさい

「ありがとう」と「ごめんなさい」を言える人間になろう、と思ったのは、大人になってからだった。それが言えなければ、生きることはものすごく苦しいと、したたかに思い知らされたあとのこと。素直に言えるようになれば、こんなに楽になるものかと思うほど…

新しい靴

子どもの靴、もう小さくなってきて、これで3足目、新しいのを買った。 1足目の靴は、よちよち歩いてみただけ。ぐすぐず泣きながら親のあとをついてきた。 2足目の靴はずいぶんいろんなところへ行った。かってに走り出したり、おもちゃ屋のおもちゃの前に…

天気のいい日が続いている。気持ちのいい秋晴れ。山口までの往復では、あちらこちら、すすきやセイタカアワダチソウの原っぱがひろがっていた。日に輝いて、せつないようななつかしいような景色だった。 10月の日曜日だった。祖父の死んだ日。こんなふうな…

遊びをせんとや

15日は、平和公園の国際会議場内の研修室で、ルソン島の植林のNGOの会合があったので行く。フィリピンから帰国しているOさんに会う。それから公園で少し遊ぶ。鳩の集まっているところに子どもは飛んでいく。ベンチにすわっているおじさんが餌をやって…

もしもきみが

休日の運動公園はそれなりに人が多い。栗8個拾う。 子どもは日に日にたくましく、草の斜面を走り降りたり、溝を飛び越えたり、高いところからジャンプしたり、川をのぞきこんだり、外へ出すとはらはらする。かといって、家に閉じ込めてもおけない。 ブラン…

土いじり

庭に出ると、子どもはさっそくスコップをもって、あちこち掘り返しはじめる。敷石と敷石の間のせまい隙間をこつこつ掘ってみたり、木や花の根もとの土をざっくりさらってみたり。あんまり根もとの土がえぐれてしまったので、「お花に土を返してあげてくださ…

ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

「ゆあーんゆよーんゆやゆよん」と子どもが口ずさんでいるのは、中原中也の「サーカス」である。友川かずきが、中原中也の詩を歌っているCDがあるのだが、子どもがそれを気にいって、そればかり聞いているのだ。 机の上に小さなプレーヤーがあって、私はそ…

なんさい?

「なんさい?」ときかれると、子どもは元気よく「2さーい」と答える。そのとき指を出すのだが、それがひとさし指を一本突き出すだけ。それで訊いたほうは一瞬とまどった顔をする。春に、名前と歳を教えたときに、ピースのかたちがどうしてもできなかったの…

フラッシュアース

午後、近くの運動公園に遊びに行った。子どもはなんだかひたすら走り回り、私は道に落ちていた栗を拾った。13個。子どものためにはどんぐりを7つ。 もう帰るよ 、と呼んでも、呼ばれているのがわかっているくせに、わざと反対側に向かって走り出す、とい…

そしてすべての悲劇は

昨日、北朝鮮が地下核実験を実施した、という。暗澹たる気持ち。核を扱って、しかも核兵器を扱って無事でいられるはずがない、と思う。 ちょうど広島の被爆者団体が、北朝鮮の被爆者の調査に出向こうとした矢先だった。北朝鮮が核実験の発表をしたために、延…

アンナ・ポリトコフスカヤの死

ニュースは衝撃だった。ロシアの女性ジャーナリストが殺された。アンナ・ポリトコフスカヤ。名前に見覚えがある。まさか、と思って確認したら、やはりそうだった。 『チェチェンやめられない戦争』(三浦みどり訳 NHK出版)の著者。あの本は、読みながら何…

レゴ

レゴが届いた。さっそく遊ぶ。親たちが。車、飛行機、家、駅、風車。最近のレゴはいろんなものがつくれるんだなあ。子どもは最初のうち、「はい、パパさん」「はい、ママさん」と、親にレゴを渡しているだけだったが、そのうち自分でも何かつくりはじめた。…

カレンダー

フィリピンのゴミ山の麓のフリースクール、「パアララン・パンタオ」の子どもたちの絵で、2007年のカレンダーをつくった。(A4サイズ)。これで何年目になるのかな。下手でも上手でも、子どもの絵は楽しい。うちのプリンターでシャッコシャッコ刷ってい…

どこから来てどこへ

10月5日は、グレースの誕生日。生まれてまもなくゴミの山に捨てられた女の子が拾われたのが18年前の10月5日だった。はじめて会ったとき彼女は5歳だった。それがもう18歳。高校生だ。しばらく会っていないせいでもあるが、歳月のはやさに呆然とす…

黒い傘の下で

『黒い傘の下で──日本植民地に生きた韓国人の声』(ヒルディ・カン著 桑畑優香訳) 読了。日本の植民地時代を経験したアメリカ在住の韓国人51人の聞き書きをまとめたもの。日本植民地下で、人々がどのように暮らしたか、が具体的に語られていて、とても興味…

もの奪うひと

臓器売買のニュースが私に思い出させたのは、故郷にいた頃に見聞した大人たちの景色だった。思い出すだけでため息が出る。 人からものを奪いながら、奪っているとも気づかずにいるような、手におえないあつかましい人たちが一方におり、一方にはバケツの底が…

栗とどんぐり

栗を拾った。近くの運動公園に散歩に行ったら、いがいがが道に落ちている。ほとんどは空っぽで、誰か散歩の人か拾ったか、たぬきかくまが食べたんだろう。よく見ると、実が残っているのもなかにはあって、大小8つほど拾った。 どんぐりも5つほど拾って「ト…

ガンジーの箴言

ガンジーの箴言。 『七つの社会的罪』 1.理念なき政治 2.労働なき富 3.良心なき快楽 4.人格なき学識 5.道徳なき商業 6.人間性なき科学 7.献身なき信仰 記憶しておこう。

臓器売買

驚いた。「臓器売買か、宇和島の病院に強制捜査」というニュースをいま見た。私の故郷の話ではあるが、見覚えのある病院の映像だが。腎臓移植をめぐって売買があったのではないかという話だが、ああ、お金がないんだろうなあ、とまず思ってしまった。故郷に…