もしもきみが

 休日の運動公園はそれなりに人が多い。栗8個拾う。
 子どもは日に日にたくましく、草の斜面を走り降りたり、溝を飛び越えたり、高いところからジャンプしたり、川をのぞきこんだり、外へ出すとはらはらする。かといって、家に閉じ込めてもおけない。
 ブランコには小学生たちがいて、なかでもひとりの男の子はすごい勢いで高く漕いでいて、その男の子の横のブランコがひとつだけ空いていた。その空いているブランコに向かって、いきなり子どもが走り出すのだ。また、足が速い。あぶない、止まれ、と叫んでも止まらず、追いかけたけど間に合わない。タイミングが悪かったらぶつかっているところだった。肝が冷えた。男の子に向かっておばあちゃんらしい人が、ブランコを止めるのよ、と言っていたけれど、あんなに漕いでいては止まれないと思う。子どもは危険をまったく理解していないし、とにかく何ごともなくてよかった。         
 夜、拾ってきたどんぐりを部屋中に転がして遊んでいた。「どんぐり、トトロ、くれた」と言いながら、転がしたり、車にのせたり、並べたり。気をつけないと、もしもきみが怪我したら、たくさんの人が傷つくんだよ、と何のことだかわからないだろうが、言い聞かせる。わかんなくてもわかってください。