2006-06-01から1ヶ月間の記事一覧

力の詩篇

子どもは、最近は何か気にいらないことがあると、親を叩く。それで「ママをどうして叩くの」と言っていたら、叩くときにはそう言うものと思ったらしく、べそをかいたような声で「ママ、どうして叩くの」と言いながら私を叩く。声だけ聞いたら誤解されると思…

夏の日の歌

暑くなってきた。外は、夏休みの田舎、みたいな空気だ。 春を待っていたのはついこの間のような気がするのに、いつのまにこんなに夏。 夏の日の歌 中原中也 青い空は動かない、 雲片(ぎれ)一つあるでない。 夏の真昼の静かには タールの光も清くなる。 夏…

ない愛

ない愛 宋左近 わたしが炎のなかにつきおとす 母が炎えることによっておそらく ないわたしの愛が炎えはじめたのだ あるわたし自身をむごたらしく炎やすために 18歳のとき母が死んだ。それから数年してこの詩を読んだときの衝撃を忘れない。この詩があって…

被爆電車

60年あまり走りつづけた被爆電車の、4両あるうちの2両が、昨日で引退。なつかしいデザインの電車が減っていくんだなあ。それにしてもよく働いたものだ。 学生の頃、お金がないのでたいていは雨でも自転車だったが、雨の夜に、あまり人の乗っていない電車…

脱創造

『シモーヌ・ヴェイユの哲学──その形而上学的転回』 (ミクロス・ヴェトー著 今村純子訳 慶應義塾大学出版会) を読んでいる。研究書、というのは読みにくい。読み始めるや、たった5分で眠くなる、すばらしい本。 ヴェイユの使う「脱創造」という言葉を考えて…

空とぶ目玉

背中に目がほしい。いいや、背中だけでは足りない。ふわふわ空中を飛んで、どこでも子どものあとをついていく目玉がほしい。 手が離せないときに、ほんのちょっとの間に、どうしてそんな悪さをするんだ、と思う。暑苦しいほどまとわりついていたのが、ふと離…

闇はながれて

川ばかり闇はながれて蛍かな (加賀千代女) 夜、蛍を見に行った。下の川には、雨上がりのせいか、季節ももう終わりなのか、ほんの数匹。子どもが「ほたる、ほたる」と蛍の光だけ見て、(まわりもみないで) 暗い橋の上を走っていくのを見るのは、そのすぐ後を追…

音無き火花

1日じゅう雨。この雨はしばらく続くみたいだ。午後、子どもの髪を切る。男の子は簡単でいい。暴れるかと思ったけれど、おとなしくしていてくれた。そういえば薬も泣かずに呑んでくれて、ずいぶん成長している。夜と朝に咳が出て、咳き込むついでに嘔吐した…

マリーゴールド

マリーゴールドを見ると、トニ・モリスンの『青い眼がほしい』という小説を思い出す。物語の最初のほうに、次のような文章がある。 「秘密にしていたけど、1941年の秋、マリーゴールドはぜんぜん咲かなかった。」 その年に物語の中で起きた出来事は、「…

未央柳(ビョウヤナギ) 

王冠の花のこと、書いたら気になって調べてみた。花の図鑑を見ると、金糸梅、に似ていたけれど、ネットで検索して、あれこれ写真を見ると、金糸梅、ではない。似たような花がいろいろとあるのだ。それで、王冠の花だが、「未央柳(ビョウヤナギ)」という名前…

王冠の花

庭に王冠の花が咲いた。 花のほんとうの名前は知らない。金色の王冠みたいなきれいな花なので、王冠の花、と勝手に呼んでいる。低い木に、木をおおうように、たくさんの花をつけている。 東京で暮らしていたとき、アパートの隣の家に植えてあって、季節にな…

ぐずぐずり

子どもは最近「ぐりとぐら」の絵本のシリーズがお気に入りで、もらった本と、古本屋で買った本と、図書館で借りた本と、4冊ほどあるのを毎日何度も読まされるが、シリーズの新しいタイトルを、思わず考えてしまった。「ぐりとぐらとぐずぐずり」。 いうまで…

子どもは毎日のように、水の入ったコップに手をつっこんで、水滴をしたたらして遊んでいるが、ついうっかり、コップのなかがジュースなのに、手をつっこんでしまったらしい。テーブルの上のオレンジ色の水滴を見て、自分であわてたようで、ティッシュで「ふ…

六月の雨

今朝、苺2個。たぶんこれで終わり。 子どもの熱、昨日はあがったりさがったりしていたが、今朝は平熱に戻っている。一安心、かな。いたって元気。 新聞紙を丸めて、かたつむりをつくったら、「でんでんむし、でんでんむし」と子どもがよろこんで、大小5つ…

水の研究

子どもの熱、朝はまだ38度を越えていて、少しは疲れてもいるようで、朝ごはんのあと、また寝た。午後、起きたときには薬も効いたのか平熱だったが、夜になってまた38度。2日間、子どもの好きなものばかりつくっているのだが、あんまり食べてくれない。…

昨日の朝、傍らの子どもの熱さで目がさめた。熱をはかると38度を超えている。いつもよりやや食欲がない以外は、病気そうでもないのだが、この熱さはただごとでない。近くの小児科に連れていく。熱は39度まであがっている。 病院は、冬のインフルエンザの…

Mのこと

マニラ在住の友人が一時帰国しているので会う。夏休みに個人またはスタディツアーで訪問する人たちの案内など、いろいろと大変なことも引き受けてもらって、そのうえにあれこれのお願いごともあって、ほんとうに感謝です。 Mという女の子の近況を聞く。ゴミ…

シャッカー

昨日の早朝、地震で目がさめて、あわてて布団からはみだしている子どもを抱き寄せた。揺れはすぐにおさまって、本棚の上の空のダンボールが落ちたぐらい。このあたりは震度4だったみたいだけど、逃げようと思って逃げられるものではないなあ、と思った。眠…

重力

重力は次元を超える、という話を聞いた。超ひも理論、とかいうらしい。が、なんのことだかわからない。高校でも物理は習わなかったし、さっぱりわからないのだが、何か心に残るのは、シモーヌ・ヴェイユの『重力と恩寵』という本のことを、思い出したからだ…

成長

近所の小学2年の男の子が、百人一首にはまっている。もう半分以上も覚えた、という。ノートに細かな字で書いているのを見せてくれる。それまで公園でサッカーをしている姿しか見たことがなかったので(何度かつきあわされた)、いつのまにこんなに上手に字を…

15歳の頃、20歳より向こうにも、人生がつづくなんて想像もつかなかった。夭折、という言葉はだから、切ない言葉というより、親しい言葉だった。夭折した詩人、などというのは、年をとって生きつづけている大人たちよりはずっと、自分の心の近くにいてく…

でーんでんむし

昨日の朝、苺2個、今朝0個。 入梅。昨日はざんざん降りだった。今日は曇り。午後すこし晴れ間も。 午前中、保健師さんの家庭訪問。ご苦労さまです。担当が替わったとかで、はじめての人だ。「療育センターには誘われましたか」というので「いいえ」と答え…

さかさ髪毛(かんげ)

ときどき、ふじこに会いたい。もうずっと前に17歳で死んだ女の子に。従姉の娘で、重度の脳性麻痺で、言葉を話すこともなく、17年を寝たきりだった。ふじこが生きている間、従姉の家にはよく行った。ふじこの傍らにすわっているのが好きだった。 高校生の…

萩の花咲く

今朝、苺4個。ほとんど野苺みたいな大きさ。なめくじの子もついてくる。 グミの実も赤く色づいてはいるが、大丈夫そうなのはほんのいくつか。雨ばかりだったせいかなあ。色づく前にいたんで落ちたり、虫に食われたり。去年は毎日100個も200個も採れて…

ちっちゃいものクラブ

昨日の朝、苺4個。今朝、苺9個。 NHKアニメ「おじゃる丸」のエンディングが変わったみたいだ。おぼえないうちに変わってしまった。虫が出てきて「ブンブン」とお尻を振るのが好きだったのに。( 「電ボのブンブン節」というタイトルらしい)。 子どもも大好…

空 清岡卓行 わが罪は青 その翼空にかなしむ 詩人の清岡卓行さん逝去。83歳。忘れがたい1行を残して。

どくだみ

昨日の朝、苺10個摘む。今朝8個摘む。小さななめくじがついてくる。緑の蛙もぴょんぴょんとんで、子どもをこわがらせた。 保健センターで健康祭のようなものがあって、未就学児童の歯のフッ素塗布を無料でしてくれるというので、午前中行ってくる。タオル…

「無」のなかに

昼間は、いたって寡黙な子どもが、夜、さあ寝るよ、と電気を消したころから、嘘のようにおしゃべりになる。30分も1時間も、ついにくたびれて眠るまで、たいへんに興奮して、しゃべったり(絵本の文章を暗唱するのだ)、うたったり、手足をばたばたさせたり…

わたしを離さないで

今朝、苺17個。といっても、虫に食われているもの、野苺のような小さいのも含めて。 イシグロカズオの小説『わたしを離さないで』は、よかった。 臓器移植やクローンなどの、科学と倫理の問題を設定の背景にしているけれど、ありえない (でももしかしたら…

初夏

夕べ、義父があれこれの食材と夕食のお寿司を抱えて寄ってくれる。蛍を見に来い、という。義父母の家のあるあたり、蛍の群生地なのだ。 このあたり、2日ほど前に近くの川に見にいったときには、ようやく、ひとつふたつ飛んでいるだけだったが。もう蛍の季節…