初夏

 
 夕べ、義父があれこれの食材と夕食のお寿司を抱えて寄ってくれる。蛍を見に来い、という。義父母の家のあるあたり、蛍の群生地なのだ。
 このあたり、2日ほど前に近くの川に見にいったときには、ようやく、ひとつふたつ飛んでいるだけだったが。もう蛍の季節だ。

 近所の人から、子どもの服のおさがりをもらう。たいへん助かる。小さくて着れないもの、女の子のものは、フィリピンのフリースクールにもっていくつもり。子どもたちのクリスマスプレゼントになるだろう。

 朝、プランターの苺7つ摘む。あんまりあまくもないし、いかにも草の実、という味なのだが、子どもはよろこんで食べた。台所の裏の片隅に植えられている薔薇が、いくつも花開いて、つくづくきれいだ。
 今日から6月。すでに初夏。

 古本屋で100円だった「堀辰雄詩集」。
 詩の数は少なくて半ばは訳詩。少ない詩の、最初のページの詩。


天使たちが
僕の朝飯のために
自転車で運んで来る
パンとスウプと
花を

すると僕は
その花を毟つて
スウプにふりかけ
パンに付け
さうしてささやかな食事をする。

     (『堀辰雄詩集』福永武彦編)