2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

いや。

あとはお風呂に入って寝るだけ、という時間になっても、まだ遊びたい。トーマスのレールを片付けるのをいやがって泣き、ミニカーたちを片付けられて泣き、それでも懲りずに、新幹線のビデオを見ると言い張り、それも取り上げられると、お絵かきボードを出し…

赤い鳥小鳥

子どもが歌っている。「赤い鳥小鳥なぜなぜ赤い 赤い実を食べた」の歌。歌詞は北原白秋。私の幼年の記憶のなかにある歌でもあって(好きな歌だったのだ)、ふいに、その頃の景色が浮かんできたりする。祖父母の家の裏の小さな小屋に住んでいて、ベニヤ板の戸は…

幸福について

ゴミの山の学校に滞在していた12年前の12月、乾季で、ゴミの山は自然発火の炎があがり、煙が教室まで流れ込んでいた。そのときの滞在中に読んでいたのが、ホセ・リサールの英語の本だった。たぶん高校生がテキストで使うような、そんな体裁で、彼の長編…

ある終わり

むかし友人からもらったトンガ土産の敷物、木の皮を編んでつくったもの、ずっと使っていたのだが、捨てることにする。黴が発生したこともあるのだが、それ以上に、もういいかげんぼろぼろなのだ。たぶん、17年か18年ほどは使った。長い旅を一緒にしてき…

終わりのない闘い

終わりのない闘い。 黴との。埃との。 ヴァージニア・ウルフが自殺したことなど、思う。もちろん、黴や埃のせいで、死んだわけではないが、黴や埃との闘いが、絶望的な闘いであることを、彼女は言ったのだ。ああ、その絶望感! 近くを走っていたローカル線は…

腎臓の値段

自分で見ていたわけではないのだが、深夜のニュースの特集が、マニラのスラムの話だったと夫が教えてくれる。どこのスラムか、ときいても、海の近くのスラムだった、としかおぼえてくれていないが。腎臓を売った人たちがたくさんいて、傷跡が痛むとか、力仕…

ノリ・メ・タンヘレ

ノリ・メ・タンヘレ、という言葉は知っていた。我に触れるな。 もうじき店仕舞いするという古本屋で、その言葉がタイトルになっている本を見つけたのは、たぶん学生の頃。店じゅうの本が半額というので、まとめて数十冊買ったそのなかに、ホセ・リサールの『…

ピングーさん

壊れたおもちゃをなおすのに、午後いっぱいかかった。踊るピングー。去年のいまごろ、おじいちゃんが買ってくれたものだが、子どもが投げたら、足が折れたんである。ぬいぐるみの糸をほどき、布をはぎ綿をとりだし、折れたプラスチックの足を見せたら、子ど…

トーマス!

年末に、おじいちゃんおばあちゃんのところで買ってもらった機関車トーマス。買ってもらったその日も興奮して、夜中になっても眠らず、泣いて泣いて泣いて、それはただ「もっともっとあそびたーい」というだけのことだったのだが、ちょうどその翌日に私がフ…

でんぐりがえり

するんである。誰もそんなこと教えないのに、ずっと練習していて、夕べ寝る前のふとんの上で、はじめて成功した。ふとんの上で大の字になったまま、真っ赤なほっぺたときらきらおめめで、満足そうで、ああそういえば、はじめて寝返りができたときも、こんな…

つながっている

ここんとこ、子どもは毎朝起きるなり「そうだ、うれしいんだ、いきるよろこび」とアンパンマンを大きな声で歌う。おかげで、1日がはじまることは、なんだかうれしいことのような気が、すこしする。実際、毎日子どもはうれしそうで、何がそんなにうれしいの…

C.C.C.P.

電子辞書も子どもの遊び道具になっている。もらったまま誰も使わないでいたものだが、子どもがそれで遊びはじめたら、パパが自分のために新しい電子辞書を買ったのが、なんだかおかしい。 子どもは生意気に英語のスペルゲームをするんである。隠されている文…

冬の森

夕方、近くのポストまで、といっても坂道10分くらいは歩いて、郵便を出しに行く。帰り、冬枯れの空き地を散歩する。さくさくと足の裏で枯草の音。 向かいの森の葉を落とした木々の隙間から、庭の奥のロダンの「考える人」の像が見える。夏の頃は、草木の茂…

風が吹いて

いい天気。どこかへ行こうか。でも外で遊ぶには寒い。子どもは元気をもてあましていて、夜もふとんから抜け出して部屋じゅう走り回る。どうかして体力を消費させなければいけないが。 フィリピンのいまごろは、暑くもなく、もちろん寒くもなく、気持ちのいい…

ねずみしんかんせん

のぞみ、と子どもは言っているのである。新幹線ののぞみのこと。それがどうしても、ねずみ、に聞こえる。 700けい ねずみ しんかんせん 500けい ねずみ しんかんせん 300けい ねずみ しんかんせん それを1日に何十回も言うのだ。それで私の頭のな…

操作

パソコンの電源は切っていたはず、蓋も閉めていたはず。なのに台所からもどってみると、開かれた画面には見たこともない英語のページが。しかもカーソルが動かない。一瞬パニック。では、ちびさんがパソコンを操作したということだろうか。それでどうすれば…

蝿の木

自分の目で見て確かめたことはないのだが、夜明けの日の出の瞬間には、さえずっていた小鳥たちが、一瞬しずまって東の方向を向くのらしい。 その話をしてくれたのは、10数年前、一緒にゴミの山の学校に滞在していた女の子で、そこにいたときも早起きだった…

今のところ世界は

一昨日の午後は、知人の老夫婦の家にお見舞い。先月また入院していたおばさんは年末に退院。家には介護用のベッドも入れられていた。足の付け根の骨がもう駄目なのだが、不思議にも痛みはないらしく、寝たきりながら、朗らかで、おばあちゃんおばあちゃんと…

生かされて。

暴力は伝染する。それを自分のところで食い止めるのが信仰の力である。 というようなことを、シモーヌ・ヴェイユは書いていたはず。でもいざ、どの本のどのページにあったかを探しはじめると、見つからないのだ。見つからないとなると、いっそう気にかかる。…

!とか?とか

落書きの花咲きそろう冬の窓 子どもがいなかったらそんなこともしないのだろうが、いるのでする。白く曇った窓にゆびで落書き。ミッフィーちゃんとかアンパンマンとか、トラックとかバスとか。せがまれるまま。 n_n (.・x・)/ 数日前、客人を送って駅まで…

ちいさな ゆき

雪。さむい。積もったけれど、とはいえ、雪かきするほどではない。 ずっと前に、東京にいた頃に拾った雑誌が、3冊ほど手もとにある。「こども時刻表 JR東日本版」1991年頃の。冬の号、などとあるから季刊らしい。拾ったのは10年くらい前。電車好きの…

昨日は

あけましておめでとうご゛ざいます。。る くま めい ととろ くるま とらつく ばす ろけつと おわり さようなら 昨日は、誕生日だった。私の。いまさら誕生日は嬉しくないので、せめてイチゴのケーキを買ってめでたくすることにする。幸いお客さんもいたので…

呼ぶ声

帰国して数日、ぼうとして過ぎて、元旦の朝も、お正月らしいことは何もなく、前夜の残りものを食べて過ぎた。たぶん少しは疲れてもいたらしく、1日の夜は泥のように寝た。寝て起きて気づいてみると、あれこれの用事が一山ある。たたまなければならない洗濯…

第9

テレビから「第9」が聞こえてきて、ふいに、パヤタスで過ごした12月のことを、思い出した。94年だから、もう12年も前だ。ゴミの山は自然発火の煙がもうもうとあがり、夜になると、自然発火の炎、トラックのライト、それに、ビール瓶のアルコールラン…