今のところ世界は

 一昨日の午後は、知人の老夫婦の家にお見舞い。先月また入院していたおばさんは年末に退院。家には介護用のベッドも入れられていた。足の付け根の骨がもう駄目なのだが、不思議にも痛みはないらしく、寝たきりながら、朗らかで、おばあちゃんおばあちゃんとまとわりつく私の子どもと歌ったり笑ったりしていた。長期に入院できる病院を探そうという話もあったらしいのだが、そうすると、家にひとり残されるおじさんが、訪問客も話し相手もいなくてはわびしいと、家に連れて帰って自分が介護することを望んだのだそうだ。ちびさん、あれこれと食い散らかして、さらに果物や缶詰と、お年玉までもらって帰る。
 
 昨日の夜は、昔バイトしていたお店に行く。そろそろその店のおばあちゃんの一周忌だったと思って花を買っていくが、相変わらず食事代はとってくれない。それどころか、ハンバーグや果物や、お土産までもらって帰るはめになる。お好み焼きを食べてジュースを飲んでせんべい食べて、上機嫌の子どもは、大きな声でアンパンマンを歌いだし「みんなのゆーめーまーもるためー」、他の店なら、たたき出されるに違いない。キャベツを切っているマスターに、おじいちゃんおじいちゃんとまとわりついて、かまってもらうと興奮して店のなかを走り回る。帰りには「おじいちゃん、またあそぼーねー」と言うんであった。大きくなったら、皿洗いのお手伝いに来させます。
 
 帰りにスーパーに寄ると、「しんかんせん」のビデオを買うと言い出し、こないだ買ったでしょ、と取りあわないでいると、子どもは泣き出し、「こないだのは700系、これは500系」とパパが味方する。ああ、ちびさん、今のところ、世界はきみの思うままだよ。