ある終わり

 むかし友人からもらったトンガ土産の敷物、木の皮を編んでつくったもの、ずっと使っていたのだが、捨てることにする。黴が発生したこともあるのだが、それ以上に、もういいかげんぼろぼろなのだ。たぶん、17年か18年ほどは使った。長い旅を一緒にしてきた。もう別れてもいいと思う。
 形あるものは滅んでゆく。あるいは、形のないものも。つづけることのできなかった友情の形見に、もっていたものでもあったのだが。