ちいさな ゆき

 雪。さむい。積もったけれど、とはいえ、雪かきするほどではない。
 ずっと前に、東京にいた頃に拾った雑誌が、3冊ほど手もとにある。「こども時刻表 JR東日本版」1991年頃の。冬の号、などとあるから季刊らしい。拾ったのは10年くらい前。電車好きの甥っ子にあげようと思っていたが、しばらく会う機会のないままでいるうちに、甥っ子は「鉄道ジャーナル」など読むほど大きくなり、渡せなくなってしまった。それでいまは、うちの3歳児が喜んでめくっている。いいかげん、ぼろぼろ。亡くなった冒険家の河野兵市さんのインタビュー記事があったり、歌人俵万智が東北を旅していたりする。冬の号は雪の特集で、まど・みちおの雪の詩が載っていたりする。
 
  ちいさな ゆき 
            まど・みちお
ちいさな ゆきが
ちらりん ひとつ
ひとさしゆびに おりてきた
ひとさしゆびの ゆびさきに
てんのつかいのようにして
 
ちいさな ゆきが
ちらりん ひとつ
ひとさしゆびで きえちゃった
ひとさしゆびの ゆびさきで
てんのようじは いわないで
 
 
  ゆきがふる
            まど・みちお 
ふるふる ふるふる ゆきが ふる
ゆきを みあげて たつぼくに
ふるふる ふるふる ゆきが ふる
とつぜん ぼくは のぼってく 
せかいじゅうから ただひとり
そらへそらへとのぼってく
ふと きがつくと ゆきが ふる
ゆきを みあげて たつぼくに 
ふるふる ふるふる ゆきがふる