暑くなってきた。外は、夏休みの田舎、みたいな空気だ。
春を待っていたのはついこの間のような気がするのに、いつのまにこんなに夏。
夏の日の歌 中原中也
青い空は動かない、
雲片(ぎれ)一つあるでない。
夏の真昼の静かには
タールの光も清くなる。
夏の空には何かがある、
いぢらしく思はせる何かがある、
焦げて図太い向日葵(ひまはり)が
田舎の駅には咲いてゐる。
上手に子供を育てゆく、
母親に似て汽車の汽笛は鳴る。
山の近くを走る時。
山の近くを走りながら、
母親に似て汽車の汽笛は鳴る。
夏の真昼の暑い時。