かっぱうようよ号

3日間乗り放題の周遊券は2枚買った。息子は滞在の2日間とも乗る。同じルートを時間を変えて乗るという。2日間もつきあえるか、と思うので、1日目は私が、2日目はパパが同行することにした。

駅前の商店がごっそり取り壊されている。シャッターが閉まったままの店が多かったが、昔そこには本屋もあった。郊外に大型書店がやってきてからは、やっていけなくなったのだろう、古本と骨とう品の店になっていたが。その店でコクトーの「恐るべき子どもたち」を見つけて買ったことを思い出した。14歳のときだ。あのときめき。

さて。日曜の朝9時半頃の予土線に乗りに行く。
予土線3兄弟というのがあって、新幹線(はりぼて)とトロッコとかっぱうようよ号が走っている。新幹線は乗ったが、かっぱうようよ号。ははじめて。

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四万十川沿いを走るからだろうな。座席に河童の親子がすわっていて、触れると、観光案内をしてくれたりする。ガラスケースのなか、かっぱうようよのジオラマが飾られていて、中国人一家の小さい兄妹が、夢中で見ていたから、はずれではないのかもしれない、謎のかっぱうようよ号。赤字ローカル線のいじらしい努力である。観光客(鉄道ファンも)と地元の人たちと30人くらい乗っていたかな。夏休みの日曜日。
江川崎より向こうは私もはじめてだ。四万十川沿い、ひたすらな緑のなかを窪川まで。土佐くろしお鉄道に乗り換え、特急アンパンマン号で中村まで。ちょっと太平洋見る。普通に乗り換えて、宿毛まで。宿毛からはバスで宇和島まで。バスは寝た。待ち合わせの時間も入れて7時間の旅だった。風光明媚と言えば言える。退屈でもある。

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宿毛の待合室に、英語とハングルの観光パンフレットがあって驚いた。最近は外国人バックパッカーもいるらしい。お遍路さんもバックパッカーみたいなものかもしれないし、馴染むかも。しかしよ、ここまで来るのが遠いよ。
地域の衰弱は、どの市もその周辺も、半端ない感じがする。観光でやっていけるとも思えない。

夜、兄の職場の焼き肉屋に、兄とふたりの叔父たちと焼き肉食べに行く。いくらかかったかなんて絶対聞かないが、おそろしいと思うよ。父が、肉食べたくないと言って、来ないのは、肉食べたくないからではなくて、あるとき支払いをして、とても恐ろしかったからだと思う。誰も遠慮しないし、こういうとき兄は値段をいっさい気にしない。店の同僚が「こんな高い肉、私らは食べれん」と言うのを、注文しているもんね。たぶん給料からひかれるだろう。しかし、ほんとに美味しい。