冬の雨


 昨日の午後、雪かき。雪だるまひとつつくる。前日の雪だるまも掘り出して、全部で4つならんだ。 夜になって雪から雨にかわる。雨の音なのか、雪が溶けて落ちる音なのか、ぽたぽたぽたぽた音がしている。
 私は夜更かししている。フィリピンの、関わっているフリースクールに英文のメールを送る。難しいことは書けないので、必要最小限、用件が正しく伝わるように、努力する。そうして簡単な単語を並べただけの文章になるのだが、いつもそれで伝わるからありがたい。

   クリスマスイブ。数日前、義母と買い物に出たとき、義母が、子どもに長靴を買わなくちゃ、というので、「雪道を歩くのには長靴のほうがいいけど、でも冬はあまり外に出ないし、足のサイズも変わるから、梅雨になったころに買うのでいいかな」と答えたのが、なんとなく、ぎくしゃくした。
 義母が言っていたのは、お菓子の入ったクリスマスの長靴のことで、結局その日は買わなかったんだけど。

   そういえば、靴を買うのは、きまって冬の雨の日だった。かかとのある靴は上手に歩けなくて転ぶから、運動靴のようなものしか履かないのだが、靴に穴があいているのに気づくのが、冬の雨の日なのである。夏なら少々ぬれてもどうということはないので、気づいてもやり過ごすのだが、冬にぬれると、あんまり冷たくて痛くてみじめで泣けてくる。安売りを山積みしていそうな店に入って、その場で履き替えるのが常だった。
 いつだったか、夜に雨が降ってきて、知らない町で、どこに店があるかもわからずにいたとき、ほとんどがシャッターを下ろした商店街の隅で、靴屋に灯りがともっていたのが、とてもうれしかった。