探し物をしていたらふるいノートの束がでてきた。中学の終わり頃から大学の頃までの、読んだ本の抜き書き張。思いついたときしか書いてないから、そんなにたくさんはないのだが、読み返してみると、ふるえるほどなつかしいものもあれば、もう全然、記憶にないものも。
リルケの雪の詩も、なつかしい。訳者不明。表記正しいかどうかわからないけれど。
銀に明るい雪の夜
R.M.リルケ
銀に明るい 雪の夜のふところに
もの皆が ひろびろとまどろんでいる、
そして今 限りなくはげしい一つの悲しみが
一つの魂の 孤独の中に眼を覚ます。
君は訊く──なぜ その魂は黙り込んでいるのだ、
なぜそれは悲しさを 夜の中へ
そそぎ出さないのだ、と。──だが魂は知っている、
悲しみが自分の中から出てしまえば、星がすっかり消えることを。