9月になった

午前四時に大雨警報と避難勧告の防災無線で起こされて、学校休み。雨は朝方だけで、あとは穏やかだった。
虫が鳴いてる。夏が終わると思う。この夏、お盆の帰省のあとに、私が見ていたものは、中学受験の参考書、問題集、過去問。
ひととおり目を通しましたが、あーしんど。
夜中にこつこつ算数の問題解いたり、理科の参考書読んだりしていた。なんでこんなむずかしいのか。


そうこうしていると不思議な感覚になってきて、いま、世の中で起こっているらしい、いろんなことが、嘘のように遠い。旅の間ニュースを見なかったし、そのあとも見ていないせいでもあるんだけど、この感覚は昔、子どもだったころの感じと似ている。いろんなことが世の中で起こるようだけど、世の中というのは、山の向こうの海の向こうにあるかもしれないけれど、とにかくとおいいとおいいところの話で、いまここに、ひしひしとあるのは雨の音、虫の声、家族の気配。頭のなかにあるのは、わからない算数と理科の問題。読みかけの本の内容。

目の前の問題をひとつひとつ解いてゆくほかに、この家を出て行く術がなく、この町を出て行けず、この島を出て行けず、とにかくここを出て行かなければ息が出来ず、というふうな受験生だったころの感覚に、ふっと引き戻される。傍らに「赤毛のアン」や「チボー家の人々」や「ボードレール詩集」や「梁塵秘抄閑吟集」なんかがあったことを思い出す。
あの部屋。勉強部屋だった2畳の板の間。真夜中、まわりにだれもいなくて、未来も過去もなくて、借金取りのヤクザが押しかけてくるような、わりと過酷だった現実に押しつぶされそうでいながら、でも、どこか時空の消えたところにぽっかり浮かんでいるようだった。



息子、えらいと思う。学校行くだけでもえらいし、友だちとごたごたするのもえらいし、今日は午後ずっと勉強していたし、ピアノも毎日30分弾いているし、そのうえ架空の街の架空の電車のダイヤグラムまでつくっている。料理のレシピまで書き写している。(つくってくれるのか、私につくらせるつもりなのかは知らないが)すごい生命力と思うよ。

そして私は受験生ではなく、一家の主婦だったりして、(難しいのは頭の切り替え)、明日は(もう今日だ)パパが目の手術のために入院するので、一緒に病院に行かなきゃいけないのだった。一週間ぐらいは入院するのかな。



そろそろパアラランのニュースレターの準備にとりかからないといけないのですが、発送は9月後半になるかもしれません。現地のやりくりもぎりぎりなので、気持ちは焦っているんだけど。
その他、いろいろ遅れておりますが、お手紙とかお返事とか、なかなかできなくて、ごめんなさい。がんばります。