いろんな工夫

中学受験するというから。小学生のくせに、これだけ勉強したら悔いはないでしょうよ、という程度には勉強させた。
問題集ひと山、日割りして、毎日数ページずつこなしてきたのが、昨日で終わった。
よく頑張りましたと。
努力した分だけは、たしかに彼の財産で、地元の中学に行きたくないから受験するって言い出した子が、いまは、地元の中学でもやっていけるぐらい心の強い自分を感じられるようになっている、と思う。
「何も心配していません」と担任の先生も書いてくれるから、学校でどれだけ猫かぶってんの? ってきいたら、
「にゃーっ」って鳴いた。

しかし思うに、その子ども、その年齢の限界、というのはある。日々、新たな間違いの、日々、新鮮な答案。
決してなくならない計算ミスと、問題の読みちがえ。斬新な勘違い。
劇的に母似。

ある日の問題に、和食についての文章があり、一汁三菜という言葉に出会った息子が、晩ご飯に一汁三菜というものを食べたいと要求してきた。なんと(余計なことを)。
そこに、だしを入れた味噌汁とだしを入れない味噌汁のちがいは何か、文章中から三文字の言葉を選べ、という問題があって、息子、
「美意識」と答えていた。三文字だ、たしかに。
味噌汁には美意識を。

「うま味」を選んで欲しいとこですけどね。
一汁三菜の話はおあずけ。さしあたり、その夜は鍋。

すばらしいよ、小学生男子。
「どんな工夫をしますか」という問に、「いろんな工夫」って書いているのだが、そういう答え方はないと、何度言ったかわからないが、さっぱり通じないらしい。「さまざまな工夫」が出てきて、さらに受験前夜にして「あらゆる工夫」になった。
どうするよ、この頭の悪さ。

「受験のときに、どんなことに気をつけたらいいか、メモに書くから言って」って言うから、言った。

美意識と、いろんな工夫。