それは古い封建主義だ!

午後、発表会(エレクトーンのアンサンブル)のリハーサル。みんな衣装も着てみた。男の子3人は黒いスーツ、女の子2人は赤いドレス。んー、馬子にも衣装である。
このメンバーでアンサンブルに出るのは、これで4年目なのかな。いい感じだなあと思う。息子、人の話はさっぱり聞かないが、人の音は聴けている、ようだ。

帰りにやっと誕生日のケーキ買って帰って、食べた。

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宿題も終わっているので、あとはもうiPadでゲームして遊びたいばっかりなのだが、時間なんか決めても守ったことない。もう今日はおしまいと約束しても、こっそりはじめてる、という具合だから、毎日のように叱られておりますがっ。
今日、いいかげんにしなさい、と私にiPadを取り上げられた息子は言った。

「パパもママもぼくを縛りすぎ。それは古い封建主義だ!」

封建主義、ときたもんだ。出典はわかっている。お誕生日にもらった本の一冊、まんが中国の歴史(現代)の文化大革命紅衛兵が出てくるあたりの場面である。

ああ、言ってみたいんだなあ。自分の心にぴったりくる言葉を見つけたんだなあ。
昔わたしもやりました。中学生ぐらいでしたが。マルクスとかレーニンとか、なんかそのあたりの本読んで親にけんかふっかけて、結局あとでひとりで悔しくて泣いたような記憶がぼんやり。

よろしい。ちょっとお話しよう。
あの文化大革命の場面で、親にそう言った若者はそのあと家を出ていったと思うんだけど、きみも出ていきますか。
「ちがうよ。若者が出て行ったのは毛沢東の思想を学ぶためだよ」
同じことです。
きみが出ていくか、パパとママが出ていくか、覚悟して言わなければならないことってあるんだよ。いつかそういう場面がでてくると思うよ。
それで、そのときのために何が大事かってことだけど、古い封建主義を出ていくために大事なのは、家を出て、ひとりで暮らす力を、きみは身につけなきゃいけないってことです。
でもいまきみは、ひとりでお湯も沸かせないでしょ。だからカップヌードルもつくれない。ごはんも炊けないでしょ。みそ汁は嫌いならつくらなくていいけど、コンソメスープと野菜炒めぐらいはつくれたほうがいいよ。それに服が破れてもつくろえない、針も糸も使えないから。掃除洗濯なんにもできないでしょ。してないから。
だから、まず、そういうことができるようになってから。
それできみは、パパやママが言わないと、自分でゲームやめないでしょ、3時間でも4時間でもやってるでしょ、パパやママに言われないと、宿題もしないし、歯磨きもしないし、片付けもなんにもしないでしょ、言われる前にすませましたってこと、ある?

息子、へなへなと倒れた。

しばらくして、言った。
「ママ、ママはぼくを捨ててしまいたいと思う?」
どうして?
「だって、ひとりの子どもは10匹の犬より手がかかるって」
それはたしかに、そのとおり。
出典はたぶん、ドリトル先生あたりだ。

なにを不安になってるんだろうなあ、もう。
ママは捨てません。100匹の犬より手がかかったって、きみがいないと面白くない。でもきみが、パパとママを捨てて出ていくのは自由だよって、言ってるの。

お湯の沸かし方と、米の炊き方と、教えなければ。