つまずきの石

連休は、山口に帰省。土曜日、阿蘇が噴火した日、息子の希望で、門司の鉄道記念館へ行く。雨だったけど、小さい子を連れた家族連れがたくさんいた。鉄道模型とか運転のシュミレーションとか、息子はひとりで飽きずに遊んでいた。

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運転席に座って機械を動かしている息子に、すこし年上の男の子が、機械の詳しい説明をいきなりはじめる。私はちんぷんかんぷんだが、息子とパパにはわかるらしい。うなずきながら聞いていた。その少年は、ひととおり喋ると、ふといなくなり、でもまだそのあたりにいて、機械をさわったり、また別の誰かに説明をはじめたりしていた。体が、電車から離れたがらないんだね。



連休の秋休みも終わって、後期がはじまる。夕方、帰ってきた息子はしょんぼり。期末テストの答案が返ってきたんだ。
テストの前なのに、学校に教科書を忘れてくるとか、机に向かってもぼうっとしたまま、何にもしないでいるとか、様子がへんなのはへんだったのだ。何か学校であったというわけでもなさそうだし、体調がよくないということでもなさそうだし、でも、ぼうっとしててもしょうがないから、米とぎとかりんごの皮むきとか餃子包むのとか、させていたけど、謎がとけたよ。
彼は、数学がわからなくなっていたのだった。でもわからなくなっていることを受け入れられなくて、勉強から目を背けていたんだな。

連立不等式なんて、中一の問題じゃないだろうと思うけど、授業ではやったらしくて出ている。わからなくなったのはそのあたりらしい。説明はわかるのに、自分では解けない。それがなぜかわからない。
たぶん、試験のときはパニックだったんだろうなあ。まったく解けない問題がいくつかのほかに、しなくていいケアレスミスがたくさん。なんでこんなことしたのか自分でもわからない、意味不明な計算の工夫、、と失敗。
途方にくれた子は答案を隠していたが、私は見つけた。
パパに言われて全問解きなおし。式をはしょるな、と叱られながら、口ごたえしてまた叱られながら。途中でわかってきたらしく、ようやくほっとした顔になったけど。
おまえ、つらかったろう、とパパに言われて、また大泣き。

昔、パパは中学生のとき、連立方程式の1行めのxyと2行めのxyが同じ値になると思わなくて、式が何を意味するのかさっぱり分からなくて困ったらしいのだが、(わかったときには、なんだこんなことかと腹だたしかったらしい)
その息子は、連立不等式が2行ではなくて1行で書かれているので、一度に処理しようとしてわからなくなった。2行にわけて書かせたら「あっ」という小さい声とともに、ひとつずつ解いて、なんなく解けてしまっていた。
つまずきの石は、そこでしたか。